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遺書めいた物を書く前に  作者: かのひ
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命の重さについて考えた

「この子がいなければ良かった。と考えたことがあるか」という質問に対して『よく有る』に◯を付けた、ように記憶している。


「子供を置いて家を出ようと思った事が…」「可愛いと思えない事が…」『よく有る』『よく有る』『よく有る』…。


もし「子供を殺してしまいそうになった事、又はそう思った事が有るか」という質問があったら『何度か有る』に○を付けたはずだ。


これらは『育児の悩み相談』的なアンケートに対しての回答なのだが、返事された診断には「あなたは子供に対してもっと愛情を持つべき」だった。


一回しか書かなかったし、一回しか読まなかったから詳しくは覚えていないが『この答えには、この返事』的なマニュアル感の記憶がある。


私に子供に対する愛情が無かったのか、とは思わなかった。問題は同時に感じるこの感情の方だろうと自分なりに推測していた。


自分の感情の在処は分かっていたし、最善の方向性も分かっていた。では、私は何を求めてこの『育児の悩み相談』に対して手紙を書いたのだろう。


自分の感情の動向が、育児ノイローゼ的な方向に向かっているコレをどうするべきか、誰かから聞きたかったのかもしれない。


身近な人から過保護過ぎると言われていた、子供達の父親にも親戚にも。誰も分かってくれなかった、私の過保護の裏側にあるものに。


その頃『子育て中の母親がノイローゼで子供に手をかける』というニュースが頻繁に報道されていた。最近『子供に対する虐待』といった報道が溢れている。ノイローゼと虐待の違いについて疑問に思ったのだが、子供に言わせれば何の違いもない、自分の命が危険にさらされているのだから。



18で実家を遠く離れ23で結婚、30になる頃…子供達の父親と私の親族が諍いを起こし、親族とは縁遠くなった。しばらくして、子供たちの父親の反感を振り切り、親族と付き合いを戻し始めた頃から、何かが壊れ始めた。今思えばもっと前、あのアンケートを出した時には壊れ始めていたのかもしれない。




誰も頼る人のいない中、支えてくれたのは、貴方たちでしたね。




子供たちが小学校の頃、言われた事がある「ともだちに『やさしいお母さんでいいね、怒られなくてうらやましい』って言われた『怒られるし、叩かれる』って言っても、だれも信じてくれない」…そうですか、私も父兄によく言われました。はい…名言ありましたよね、知らないんですね。




私は良き母だったろうか?


あの日、まだ首の座らない貴方が寝ている横で貴方の顔を見つめながら、私が抱いた罪悪感が消えて無くなるくらいには、私は良き母親でしたか?

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