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25.5 メイドさんは料理人さんに振り向いてほしい

 

「あ、あ、ああ、あの! 明日、お休みの日ですよね?」

「ああ、メイドさん、こんにちは。あれ、僕、明日お休みなんですか? いやぁ、気がつかなかったです。教えてくれて、ありがとうございますー」

「い、いえ! あの……その、たまたま、グレゴーリオさんにお聞きして……」

「うぅん、僕、グレゴーリオさんには助けてもらってばかりで、情けないですよねー。きっと、忘れてそうだから、メイドさんに伝えてくれたのかなぁ」

「あ、う……」

「メイドさん、伝えてくれて、ありがとうございました! それじゃーまた!」




「行っちゃった……」


『私も明日、お休みなんです。良かったら、一緒にお茶でもしませんか』

  あんなに、練習したのに……またダメだった……うう。




「グレゴーリオさぁん! 僕、明日お休みなんですねー。全然気がつかなかったです!」

「あぁ? そうだったか? そうか、お前は休みか……明日の仕込みは、落ち着いてできるって事か」

「くぅっ! その通りですけどー! そう言われると、胸が痛いですー!」

「おう、もっと悔しがれ。そんで、ドジ踏むのを直せ」

「はーい。ちぇー。あのメイドさんにも、ドジなやつって覚えられてるのかな……かっこ悪いなー」

「あのメイド? 誰だ?」

「ほら、あのメイドさんですよー。いちばん新入りの。そういえば僕、お休みの前の日は必ず、あのメイドさんから教えてもらうんですよねー。新入りなのに、みんなのスケジュールを覚えてるなんて、凄い子だなぁ」

「……ハァ!?」

「あ、やっぱり、びっくりしちゃいますよね? きっとああいう子が、未来のメイド長になるんだろうなぁ。うーん、僕とはえらい違いだなー。僕も頑張らないと!」

「いやいやいやいや、お前……馬鹿か? 前々から馬鹿だとは思っちゃいたが」

「えー。いくらグレゴーリオさんでも、酷いですよ、もう。別に、僕が料理長になる! って言ったわけでもないじゃないですかー。ただ頑張るって言っただけですよー」

「いや、そこは料理長になる! って思うぐらいで居ろよ。諦めんな。お前はドジが酷すぎるだけで、包丁捌きなんかは良いんだから。……ってそうじゃねえよ! そのメイド! 絶対、お前に好意を寄せてるんじゃねーか!」


「はぁあー!? またまたー。グレゴーリオさん、それはないですよー。だって、僕ですよ?」


「いやいや、賭けてもいいぜ。休みを知っているってことは、お前を誘うつもりなんだろうな。で、お前が気が付かずに流す、と。簡単に想像できるな、オイ」

「えぇー? そんな、甘酸っぱい雰囲気だったかなぁ? ……あ。そういえば、いつも顔、赤かったです」

「あー! イラつくな! なんでこんな鈍感ドジっ子がいいんだよ、そのメイドは! お前、仕込みはもうここまでで良いから! 休憩にしてやるから、お前から誘ってこいよ!」

「えぇー! グレゴーリオさんって、意外とこういう話好きなんですかー?」

「ちっげーよ! お前、本当にムカつくな! そうじゃなくてだな……なんか、くっつきそうでくっつかない奴らって、見ていてイライラするっていうか……くっつくなら、サッサとくっつけ! 別れるなら、早く別れろ! って思うんだよ」

「あはは、グレゴーリオさんって、恋愛に向かない人ですねー! まあ、僕も恋愛向きとは言えませんけど」

「分かったら、サッサと行ってこい!」

「はぁーい」




「すみませーん、メイド長ー! メイドさんを少しの間、借りていってもいいですか?」

「あら、鈍感でお馬鹿な料理人の坊や。やっとあの子の気持ちに気がついたってわけ?」

「……と、いうことは、やっぱりそうなんですねー。いやぁ、ビックリですー」

「なによ、ハッキリ分かったから来たんじゃなかったの? 言っておくけれど、あの子を傷つけたら承知しないわよ」

「あはは、気をつけますー。じゃあ、メイドさん見つけたら、少し休憩ってことでいいですね? お願いしますー」




「あ、メイドさーん! 見つけましたー」

「え、ええっ!? 料理人さん、あれ、どうしましたか? 確か午後は、仕込みと食材の補充の筈じゃ……」

「ふふ、やっぱり僕のスケジュールを覚えているんですねー。流石です!」

「あっ! いえ、これは、その……そうですっ」

「そうなんですかー」

「そ、そうなんです」


「ねえ、メイドさん。しょっぱいアップルパイって食べたことありますー? ジュースで煮込んだ肉でもいいんですけど」

「な、ないです」

「ですよねー。僕はありますよー。まずかったです」

「は、はぁ……あのっ」

「メイドさん。僕と一緒に居るうちに、そんなまずいものも食べさせられちゃうと思いますけど……食べられそうですかー?」

「は……それって……? は、はいっ! わた、わたし、料理人さんが作ったものを食べたいです! 失敗しちゃったやつも、2人で半分こ、したいんです……」


「ふふー。今まで、失敗しちゃったやつは、グレゴーリオさんと半分こしてたんですけどー。今度からは、メイドさんと一緒に食べていいってことですか?」

「そ、そそ、そういう事です!」

「やったー、嬉しいなー!」


「あ、あの! 私も明日、お休みなんです。良かったら、一緒にお茶でもしませんか」

「いいですねー。メイドさんの私服、初めて見るの、楽しみだなぁ」

「それは、そんなに、楽しみにしないでください……」

「えぇー? きっと、可愛いですよー?」

「か、かわっ! かわいい、でしょうか……が、頑張ります!」

「頑張ってくれるのかー。ますます楽しみになっちゃったなー」

「あ、いまの、いまのナシです! 頑張れません!」

「えぇー! そんな事言わずにー。僕のためにメイドさんが頑張ってくれるの、見たいなぁ」

「が、が、頑張ります」

「ふふー! ありがとー!」



「じゃ、じゃあ、また明日! 料理人さん!」

「うん、また明日ー! ばいばい、マリー!」




「……え? いま、名前……呼ばれた? うそ……夢みたい」



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