表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

12 曖昧な真相

あたしはビルの屋上から突き落とされた様な気分になった。


異世界を消滅させる!?


そのためにあたしの命が必要!?


……そもそも異世界が消滅しちゃったらフェアルシアさん達はどうなっちゃうの!?


あたしはゆうやさんの言った言葉の意味が全然理解出来なかった。


「くっくっく……君の反応が予想通りでちょっとがっかりだよ。同じ現世界の異端者として。

……異世界の消滅……正確には現世界との融合になるのかな。

……落ち込んでいるようだから補足しておくけど、別に究極魔法を使ったから君がすぐ死んじゃうってわけではないよ。

つまりそのくらいの力が必要ってこと。

現実世界においてもそうでしょう。大成を成し遂げるにはそれ相応の価値を生み出してあげないとね。

でも……心配することないよっ! 今の君にはそんな実力も素質も全くなさそうだから。」


不安そうにしているあたしにゆうやさんは淡々と話し続ける。


「だからー、君は何も落ち込む必要なんてないんだよ。

多少責任を感じているかもしれないけど、そんなの誰も期待しちゃいない。

君がこの世界を変えようと思う気持ちはただの自己満足であり、万が一この世界を消滅させてしまったら異世界の法則を変えてしまうことになる。

たった数人の安息を願う為にそこまでする価値はあるのかい? 

足手まといにしかならない君がこの異世界をうろつく事自体彼女たちにとっては迷惑に思ってるんじゃないかな?

自分の存在価値を見い出したいのであれば現世界でやればいい。君にとって異世界は荷が重すぎるよ。」


あたしは俯いたまま顔をあげることが出来なかった。

悔しさもあるけど自分の無力さを痛いほど感じ、涙がこぼれ落ちそうになった。


「でもっ……あたし諦めない……」


あたしは震える声で精一杯いった。


「確かに……ゆうやさんの言ってることは間違いじゃない。でも……たとえ自己満足であってもあたしが出来る事を最後までやり通したいんです。」


「その結果自分自身後悔することになっても? 」


「……はい。みんなの為になるのであれば……後悔なんてしません。」


呆れたようにゆうやさんは


「ふ~ん……、一応忠告はしたつもりだけど聞き入れてもらえそうにないね。」


あたしはコクンと頷き聞き返した。


「その……フェアルシアさん達を救うための異世界の消滅っていうのはどうすれば……」


「クスッ、君はホントにおもしろい子だなぁ。勘違いしないよう最初に言っておくけど、僕はフェアルシアの仲間でも……ましてや君の仲間でもない。

今すぐにでも君の最後を……尽きる瞬間を見届けてもいいんだけどね。この力で……」


ゆうやさんの指先はゆっくりとユニオンをなぞっていた。


冷たい表情のままうっすらと笑みを浮かべるゆうやさんを前に、あたしは金縛りにあったような感覚に陥っていた。



『…………………………』



少しの沈黙の後ゆうやさんはそっと部屋を後にし、操り人形の糸が切れたようにあたしはその場に崩れ落ちた。




          

          ***






さっきは勢いであんな酷いこと言っちまったけど、実際あたし達だけの力だと限界がある……。

ゆうやとかありさって子に協力してもらえたらすごく助かるけど、赤の他人に命の保証のない任務なんて……そんなこと頼めない。

これから先どんな魔物が出てくるかも分からないのにあたしがフェアルシアとメルを守れるのも時間の問題かもな……。



あーーーーっ、もうっ……あたしがこんな弱気でどーするのよっ。

あたしがもっともっと強くならなきゃいけないんだよっ!!

お父さんとお母さんに約束したじゃない……。


だから……あたしがこの剣と魔法であの子達を守りきってみせる!!


アトリーナは涙を拭いゆっくりと立ち上がった。


屋敷から出ると無残にも破壊された塀垣からは見晴らしがよく、いつ魔物に襲撃されてもおかしくない状態だった。


「はぁ……、これじゃあ襲ってくれっていってるよーなもんじゃねーか。一時凌ぎにしかならねーけど……」


そういうとアトリーナはさっと剣を抜き左手に炎を宿す。

うねるようなオレンジ色の炎に深く……重い力を込める。

ゆっくりと両手で剣を持ち、鞘をギュッと握りしめ構える。

すると剣全体に炎がじわじわと行き渡り、それを勢い良く地面に向かって突き刺した。

水滴が落ちた波紋のような波動で、左右に火柱が波の様に立っていき一瞬で屋敷をぐるりと取り囲むような形になった。


剣を抜き、軽く一振りして

「クソ魔物どもっ! 今から狩りまくってやるぜ!! 」

アトリーナは炎の中を通りぬけ草原へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ