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負の魔法使い  作者: 山吹十波
Chapter 01:reuNion
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01-04 開戦直前

昨日と同じくご機嫌なディアナと共に登校していると、門の付近で眠そうにしているローズを発見した。


「おはようございますローズさん」


「……ディアナにレイト、おはよぅ」


「眠そうだけど」


「あの後帰ってからテンションあがり過ぎてガーネットと一緒に魔法の練習してて……」


ふぁぁ、っと小さな欠伸を一つ。


「……なんかふらついてるから……ディアナ、教室までしっかり連れて行ってね?」


「わかりました兄様。それではお先に」


ディアナがローズの手を引いて校舎へと入っていく。

それを見送ると、レイトもゆっくりと校舎へと向かう。


「レイト君おはよー!」


後ろから名前を呼ばれたので振り返る。茶髪の女の子と少し青みがかった髪の女の子がこちらへ向かってくる。前者はダッシュで、後者はため息をつきながら歩いてくる。


「……………誰?」


「クラスメイトだよ!?」


「えっと、すいません。昨日は緊張してて自己紹介あんまり聞いてなかったんだ」


もちろん嘘である。


「そうなの?私はマキナ。マキナ・フルーグだよ!よろしくね!こっちは親友の

エリザ」


「知り合ったの昨日だけどね?エリザ・ボードです。よろしくねルナフォード君」


「ええっと、妹が同学年にいるのでレイトでお願いね?」


彼女たちと共に教室に入る。早めに来たつもりだったが、既に教室は賑わっている。


「よう、レイト、……ってもう新しい女作って」


「人聞き悪いこと言わないでくれ」


「でも、オレねえちゃんとディアナに報告しないと」


「そのときは本気で止めにかかる。それで、なんでこんなに早くに来てるんだ?」


「ああ、伝統ってやつ?早めに来て、スカウトしてもらうんだと」


「じゃあ何で早くきたの?」


「北風のとこが来たら破り捨ててやろうかと思って」


「性格悪いぞ」


「お前のためにやってんだよ」


「いらないお世話だよ」


謎の沈黙が二人の間に広がったが、それを破るものが一人。


「二人はいつから友達なの?」


「んー?かれこれ10年ぐらいかなぁ……」


「へー、じゃあ二人とも同じ派閥で出るの?」


「まあな」


「私とエリザは研鑽派(ダイヤ)から出るよ?」


一年生のほとんどはとりあえずもっとも中立の研鑽派を選ぶらしい。ただし、優秀な生徒は他の派閥からヘッドハンティングされるため、研鑽派の勝率はひどい物らしいが。


「オレたちも研鑽派だ。というか姉ちゃんがいるから他に選択肢がない」


「姉ちゃん?」


「ああ、オレの姉ちゃん生徒会長(ダイヤのK)だから」


「すごいんだねー」


「え?マキナ、あなたホントに知らなかったの?」


「え?なにを?」


一切の事情を理解していないマキナに、説教をするエリザ。その光景を苦笑いしてみていると、教室の扉が乱暴に開けられた。


「デューク・クラモールはいるか」


3年生の生徒が教室にやってきた。


「オレだけど、何か用?」


デュークが適当に応対する。


「喜べ。トウキ様からこれを預かった」


一枚のカードを投げ渡す。カードは♣の9。新入生に与えるカードとしてはかなり大きな数字だ。しかも、あの(・・)トウキ・ノースウィンドから直接の指名とあって教室が湧いた。しかし、デュークの反応は。


「はっ、魔術派(クラブ)について欲しかったら最低でお前の首(キング)持って来いってあんたらの大将に言えよ」


そういいながらカードを二つに裂いた。


「なっ……貴様っ……」


「大体、お前らのトコの王サマが本当に優秀ならオレじゃなくてレイトを取りに来るべきだ。これだから魔力でしか優劣を決められない時代遅れのバカどもは」


「デューク、もうやめとけ」


「いや、レイトは黙っていろ。そもそも、八聖としての位もウチより下のくせして使いよこすとか喧嘩売ってるのか?親父が言ってたが、功績が低すぎてそろそろアドルートに負けるみたいだが……」


「貴様っ……ノースウィンドを侮辱することはこのキルレフ・ボレアスが許さんぞ」


「なんだ、分家の連中かよ。やっぱりノースウィンドはバカだな。まあ、この後思い知るだろうけど、自分たちが捨てたものがどれほどの力を持っていたかを」


そこまで言ったところでカインが教室に入ってきてキルレフが追い払われた。クラスメイトのほとんどは青い顔で固まっている。


「さてみなさん、この後の新歓試合ですが、死なない限り基本的に何やってもありなので本当に気を付けてください。かくゆう私も、学生時代はこれで2回死にかけました。あのときはまだ魔術派と騎士派と研鑽派の3つでしたね。確かヴィラド王子がダイヤのキングで、イサクさんがエースだったような。まあそのころはお二人とも今ほど強くなかったですが、研鑽派が最大勢力でしたね」


イサク・ルナフォードは現在はレイトの兄にあたる。優しく、強く、賢い人で兄とはこういうものなのだという事を彼から学んだ。レイトの中では既に「トウキ」という人物の存在は霞んでいる。


「みなさん、防護制服はきちんと着用してください。友達にネクロマンサーはいますが、あまり連絡は取りたくないので」


この学園の制服には特殊な繊維が使用されているため魔法によるダメージをかなり軽減してくれる。

因みにこの繊維を開発したのはレイトだ。


「それでは全員グラウンドに向かってください。派閥分けされていない人は後者の出口あたりで2のカードを配ってるので受けとっておきなさい。無所属とか適当に消されますよ?」


恐ろしいことを言う教師である。


「よし、行くぞレイト。あれだけ煽っとけばオレに注目集まるだろ。で、誰使うんだ?」


「デュークが本気でやるならボルトかな」


「おう、ティアも喜ぶわ」


クラスメイト達から距離を取られながら廊下を進む。すると後ろから一人の女子生徒がレイトに突然抱き着いた。


「レイト、見つけた!全然会いに来てくれないし!デュークも!」


「ああ、ごめん……ね?」


「落ち着けリディア」


「まったく。で、今日は精霊派(ハート)からでてくれるの?」


「いや、オレたちは研鑽派だ」


「そうなると思った……まったく、お兄様にはもっと頑張ったアプローチしていただかないと……」


「!……そうだリディア、ローレンスさんに伝えといて『僕らの上位精霊を必ず見せるから研鑽派と精霊派は非戦協定を結んでくれ』って」


「む、まあ、その条件ならお兄様は飲むでしょうね。それでは、私はお先に」


「中位以上の契約者をたくさん集めた連中なんかと戦いたくねぇよな……」


「中位と言っても精霊の魔法の力はかなり強力だからね」


「まあ、それをいくつもつけてる奴に言われたくないだろうが……」


グランウドには人が集まり、すごい緊張感が立ち込めている。


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