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負の魔法使い  作者: 山吹十波
Chapter 01:reuNion
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01-13 氷の仮面

4年となり研究室に所属するトウキの元にも測定器がやってきた。

全く乗り気ではなかったが、父親が直々に来たのでは断ることもできない。

副師団長であるナダレ・ノースウィンド。そして、ソア・クラモール師団長、シンシア・ルナフォード学長の3人に呼び出された同学年の生徒は少ない。これは、3年で卒業を選んでも十分な能力を身につけられるからである。


「さあ、トウキ。国でトップクラスの魔術師であるお前ならこれでも良い結果が出せるはずだ!」


そう言って差し出されたのは精霊適応測定器という装置。なんでもクラモール家とルナフォード家が合同で開発したらしい。


「さあ!魔力を込めるのだ」


息子を自慢するのが何よりも好きな父が笑顔で装置を握らせる。


「はい、父上。お任せください」


手に触れ、魔力を込める。

まず魔力量と書かれた数値が変動し、4000で止まった。これはいつも通り。

そして問題のもう一つの数値。

ナダレが眉間にしわを寄せ、言う。


「………クラモール殿?やはり眉唾なのではないですか?」


「今更何を言っているんだ。検証データなら師団全員分は取ったし、それが正しいことはお前も認めただろう」


「しかし、……そんなことはありえない!これほどに優秀な私の息子が!」


「現実を見なさい。トウキ・ノースウィンド。もういいわ」


「待ってください、どういう事ですか!?」


「そうだ、こんなことは何かの間違いだ!」


ナダレがソアに食いつく。


「間違いではない。お前の息子は精霊との適応値0だ」


「そんな馬鹿な!」


「落ち着いてください、父上。精霊などなくとも私は強いです」


ナダレの手を取りトウキが言う。


「……そうだったな。何せ精霊なしの純粋な魔力値ではお前を上回るものはいない」


「あなたはいつの話をしているの?」


割り込んだのはシンシア。ソアは巻き込まれないように他の学生たちの数値を測定している。

シンシアは手元の資料に1つ0をかくとナダレに手渡した。


「トウキ・ノースウィンド。純魔力値4000。これは王国内で9位(・・)に相当し、高い能力を持つ者であ、る………………何の冗談だ」


純魔力値とは精霊の力を加算せず、正魔力値と負魔力値を純粋に足し合わせたものを指す。もちろん、もうすぐこの書き方は訂正されるのだが。

この値はデュークを例にして試算すると、(+)9000、(-)8500で500となるが、雷の上位精霊・テイアとの契約により負魔力8500はテイア側に移り9000がそのまま残る。そして魔力値ではここにテイアの持つ魔力量9350が加算されるため、デュークの魔力値は18350と表示される。

負魔力8500分の増加は精霊によるものだが、これはまだ発表されていないことなので無視し、9350を加算しない9000がデュークの純魔力として扱われる。

ちなみにレイトの純魔力値は-28000で、もちろん資料には0と記載されている。


ナダレが紙を握りしめる。

トウキも茫然としている。


「9位……?」


「そうだが?」


「そんな馬鹿な!ではトウキの4000を超える者が8人も!?」


「何故しらんのだ、お前は」


ソアが呆れる。


「1位はソアの息子であるデューク。同値でヴィラド王子だったはずだけど?」


「何故だ!?なぜだ!?ナゼダ!?一体何をした!?」


ソアが他の生徒たちを部屋から出す。


「落ち着け、今日はもう引き上げるぞ」


「待て!どういう事か説明しろ!」


部屋を出るソアの後を追うナダレ。

取り残されるトウキ。


「あなたも帰りなさい」


「……はい」


部屋を出る。

廊下にナダレたちの姿は既に無い。

自分がいつの間にか1位ではなくなっていたという事はショックだった。

しかし、それよりもトウキの心を抉ったのは父親の眼。


幼い弟に向けていた侮蔑の籠ったその眼を一瞬、ほんの一瞬であるが、それが自分を見た。


「なぜだ……」


廊下の壁を打つ。


「おい、トウキ。何してんだ?」


背後からの声に振り向く。


「ディランか……」


「なんか機嫌悪い?」


「ああ、ちょっとな……」


「さては、精霊適応値が低かったんだろ?オレもだぜ。2ってなんだよ2って!」


「俺は0だった。通りで下位精霊も寄り付かないはずだ……」


「まあ、精霊が欲しいわけじゃねーけどこれは辛いな」


「……今年は勝てないな」


「何を……」


トウキが歩き出す。


「どういう事だ!」


「俺よりも強い奴がいる。それだけだ」


「何を言ってるん……ちょっと待て!」


追うディランを無視し、トウキは進む。


「そうなると、俺は何をするべきか」


「…………」


最早ディランがかける言葉はない。


そして、トウキの頭に1つの名前が浮かぶ。

2体の上位精霊を使役する忌まわしき男。


「……レイト・ノースウィンド」


「は?何言ってんだ?レイト・ルナフォードか?」


「調べろ」


「あ?まあ、いいけど」


納得いかなそうな顔をしたディランが頭をかきながらその場を離れる。


「近いうちにトウカに引き渡すことになる。それまでに」


トウキは拳を強く握った。


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