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負の魔法使い  作者: 山吹十波
Chapter 01:reuNion
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01-11 地の童子

魔法演習といってもやることとといえば基本の反復がメインになる。

あっというまにノルマをこなしたレイトとデュークはグラウンドの隅でクラスメイト達が必死に的に向かって魔法を放つ姿を見ていた。


「魔力のコントロールはルナにひたすら叩き込まれたからなぁ」


「この授業はしばらく苦労はしなさそうだね」


レイトの魔力が0と知ってわざとレイトをお手本(・・・)として全員の前でやらせた意地の悪い教官も、無詠唱で打ち出され炎弾が数十枚の的のど真中を打ち抜く様子を見て唖然とした後、青くなっていた。


「あれだけ派手に精霊を使役してたのにどうして“できない”とおもうかね」


「先入観って奴じゃないかな。というか僕は一応ルナフォード家の人間なわけだけど、自分の首とか惜しくないのかな……」


それに気づいているのか否か、さっきよりも青い顔をしている教官を見ながらレイトがため息をつく。

きっと後で(りじちょう)からお話があることだろう。

あの人は自分の子供がかわいくて仕方ないみたいだから。


半分ほどの生徒がノルマを終え、暇をもて余して思い思いの訓練を行っている。

来週から教官かわるんだろうな、などと考えていたレイトに声がかかる。


「兄様、お疲れ様です」


「ディアナ、ローズお疲れ様。この後どうしようか」


「私としては昨日教えていただいたアレ(・・)の練習をしたいところですが、人目がありますからね」


ローズが考え込む。


「ガーネットと一緒に暴れるか?相手になるぞ?」


「周りの皆さんを確実に巻き込むことになるので遠慮します」


「はいはーい、みなさん集まってください」


突如、グラウンドの中央に現れたシモンが大声で招集をかける。

その手には見覚えのある装置がある。


「さっそくきたか」


「とりあえず学園のデータから集めるみたいだね」


整列させられた生徒が次々と計測を行い、シモンがデータを記録していく。


「オレたちはいいよな?城にデータあるし」


「そうですね。でもローズはデータを記録していたわけじゃないので測りに行かないといけないかもしれません」


「そういえばそうでしたね。では少し行ってきます」


ローズが列の最後尾へと駆けていく。


「しかし、これで魔力0のお前が精霊と契約出来ているわけが解き明かされる日が来たな」


「別に解き明かされてうれしいことはないけどね。僕の正魔力が0なのは変わらないし」


『レイトの魅力は私たちが一番知ってるよ?』


座るレイトの肩を抱くようにしてフレアが現れる。


「どうかしたの?」


『なんか殺気?に近いものを感じたから……レイトは気づいてるでしょう?』


「うん、そうだけど。この程度なら放っておいても問題ないと思うよ、っと!」


レイトの座っていた場所の直下から鋼の槍が突き出す。

寸前で躱したレイトは、服に着いた砂埃をはたく。


「地属性・アースランスですかね?」


『相手は精霊……ノアよりは弱いかな』


「ボルト、探せる?」


『任せてくれ』


ボルトが応じる声が聞こえてから数秒後。


『見つけた』


スパークと同時に現れたボルトの手には小柄な地精霊がいる。


『はーなーせー!ボクはビアンカ様の精霊だぞ!』


ボルトに持ち上げられているため足はじたばたと宙をかいている。


「ビアンカ……ってあれか、隣国の姫様。確かA組だったか?」


『上位精霊に近いけど、ギリギリ中位みたいね』


フレアが地精霊の額をつく。


「で、どうするこれ。滅するか?」


「まあ、兄様は要人ですからねぇ……滅されても文句は言えませんよね」


精霊がひっ、と悲鳴を上げる。


「できればやめてくれるとうれしいが」


「うぉっ!?どこから現れた!?」


レイトとデュークの間に現れた背の高い少女にデュークが驚く。


「私はアイベルダ王国第2王女ビアンカ・アイベルダだ。よろしく、ルナフォード、クラモール」


「初めまして、王女殿下。レイト・ルナフォードです」


「それで、ソレは返してもらえるのだろうか」


「ボルト、降ろしてあげて」


『了解した』


ボルトから解放された地精霊はダッシュでビアンカの後ろに隠れる。


「それで、そのチビ精霊の暗殺未遂はどうしてくれる?」


デュークが地精霊を睨みながら言う。


「ふむ、宰相閣下のご子息に手を出したとなると、我が国では極刑だがどうする、アイン?」


『そそそそれは……そもそもソイツがボクをバカにしたから!』


「もうめんどうなんでどうでもいいんですけど」


レイトは興味がないといった顔で告げる。


「そう言ってもらえる助かる。これには後で折檻しておくから」


え゛、といってアインが固まる。


「昨日の乱戦を見る限り。君の実力はかなりのものだ、それとクラモールと……確か妹君も」


少し不機嫌なディアナが口を開く。


「そうですね。まあ、私は兄様の“かわいい”妹ですしこれぐらいでき当然です」


「……そうか。それで、レイト君できれば少し手合わせを願いたいのだが」


「少しなら、アイベルダ王家に伝わる魔法とやらも見てみたいですし」


「そんな兄様が出るまでもないと思いますが……」


「いや、ちょっと久しぶりに体を動かそうかなと。デューク以外と戦うのは久しぶりだし」


『それでは私は下がるとしよう。フレア、あとは任せた』


『はーい』


その光景とレイトを見ていたビアンカが違和感を覚え、レイトに尋ねる。


「君の瞳は紫だと思っていたが……」


今は(・・)は紅ですね」


『ですね』


シモンはまだ記録を取るのに忙しいようだし、時間的にはまだ余裕がるので問題ないだろう。

そもそも時間をかける気はない。


「それではいきましょうか」


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