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短いお話です。
暇つぶし感覚で、軽く読み流していただけると幸いです。
ずっと貴方の事が好きだったの。
とても、とても愛していたわ。
けれど、貴方は私の事が嫌いだった。
何処がいけなかった?
何が気に障ったの?
私には分からなかった。どうしても、分からなかった。
私達の結婚は、政略結婚だった。
例え政略結婚だとしても、私は貴方の妻になれて嬉しかった。貴方は、違ったけれど。
貴方は一国の王だった。
妻を何人も持つ事が許される王だった。
私は公爵の娘だった。
力のある臣の娘だったから、王妃の座に納まった。
二人の間にあるものは義務。一方的な愛情。そして、拒絶。
いつしか私のお腹には、貴方の血を引く子供が宿った。
期待したわ。夫婦愛はなくとも、家族愛ならば芽生えるのではないかと。
けれど、貴方は変わらなかった。
そうして時を過ごし、貴方は愛を囁く事を覚えた。
相手は、男爵家の一人娘だった。
身分さを乗り越え、仲むつまじい様子の二人。
ねえ、どうしてなの?
私の何処がいけなかったの?
貴方に相応しいように、沢山の努力をしたのよ?
政治を学び、マナーも完璧に。
貴方の地位を磐石とするため、様々な方面へフォローに走り。
いつだって、笑顔を絶やさぬように。
もう、愛情でなくてもいいの。
少しでも、私に情を傾けて欲しい。
友情でもいいの。
共に国を支える、同士として共にある。それでも、いいの。
嫌悪の表情ではなく、微笑を頂戴?
払いのける手は嫌なの。そっと、握り締めたい。
遠い背中を眺めるのではなく、肩を並べて庭を歩きたいの。
ねえ、何がいけなかったの?
いつまで、私は一人で立っていればいいのかしら?
もう、これ以上は限界なの。
諦めてしまえば、楽になれるかしら?
もう、貴方を諦めても良いですか?