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プログラミング・リミックス!【二階】

 迫り来るゾンビは、エマの射撃で一度は倒れる。

 しかし二分間その場に倒れると、また復活してしまう。

 保健室からは、どこにそんな居場所があったのかゾンビが続々と現れる。


 ゾンビの歩みはゆっくりだ。

 しかし、いずれは此処に辿り着く!


 エマはショウマに『早く! 早く!』と叫びたい気持ちを堪える。

 ショウマは集中して、コードを読んでいる。

 沈黙しているが、必死に頑張っているのだ。

 邪魔をしてはいけない。


 エマも、撃ったミサイルがゾンビ二体までなら貫通して倒せる事がわかった。

 弾を無駄にしないように、ゲーム画面上で二体が重なった瞬間に撃つ。


「……このゲーム……ゾンビが教室に入ったらプレイヤーを喰い殺しゲームオーバーになるんだって……エマ、もう少し頑張って!」


「うん!」


 ショウマも、エマが恐怖に耐えながら頑張っている事がわかっている。

 ゲームの書き換えが、本当に可能なのか試してみないとわからない。


「ゾンビの足の速度を今よりも落とし、ミサイルが命中したら撃破される……そしてゾンビは二度と復活しない……」


 ショウマは頭の中で、何を書き換えるべきか整理する。


「ショウマ! ゾンビがもう近づいてきてる!!」


 近づいてくるゾンビが恐ろしくて、撃って倒しても、その間に後ろからゾンビがやってくる。


 倒れたゾンビに足をとられるゾンビもいるが、そのまま一緒に歩き始める。

 ゲーム画面と、今この二階の廊下で起きている事は同じ。


 つまり、どんどんゾンビ達は増えながら近づいてきている。


「弾はまだある!? 書き換えてから十体倒さないといけない!」


「わかってる……でも、もう……あと十三発しか残ってないよぉ!!」


「もう少し……待って! このゲームをクリアしてからの報酬も書き換える……!! 素材もきっとあるはずだ!」


 プログラミングはサッパリのエマには、ショウマの言っている意味がわからない。


 ただ、弾を無駄にしないように撃つ。

 

 ……段々と近づいてくるゾンビの声。そして撃たれて飛び散る音……!!


 ドアを開けっ放しにしていた事を後悔した。


 腐ったニオイまで、漂ってきた気がする!!


「ぎゃあああ! もうすぐそこにいる! やだ! やだ!!」

 

 パソコン教室の前に扉から、ゾンビが弾け飛ぶのが見えた時、エマは恐怖で叫んだ。


「よし、できた!! 書き換え完了! これが新しいゾンビゲームだ!!!」


「ショウマ!!」


 エマの元にショウマがやってくる。

 

「あとは残り十発……」


「入ってくる!!」


「エマ! 連射だ!!」


「わかった!! ゾンビ全部倒れろーーーーーーーー!!」


 ミサイル発射の音が響く。

 もう教室の前だ。

 ショウマはエマの耳を両手で塞いだ。


 ゾンビが飛散して、グチャグチャになる音が響く。

 おぞましい音だ。

 エマは画面だけ見て、十体のゾンビが倒されたのを確認する。


「ゲームクリアだ!!」


「やった……!!」


 ドオン! と何かが出現する音が聞こえた。


「なに!?」


「大丈夫、ゲームをクリアしたら、隣の教室に階段が出現するようにプログラミングしたんだ」


「えっすごい!! じゃあすぐ行こう! ……ってちょっと待って」


 ゲーム画面が移り変わって、宝箱のドット絵。


「ご褒美?」


 エマが勢いでクリックしてしまう。


「なにこれ……検索画面……だよね?」


「僕が使ってたパソコンにも……宝箱がある、クリックしたよ……本当だ。検索画面だ」


 『ご褒美:知りたい事を一つだけ、検索できるよ』

 

「知りたいことだって……」


「それぞれで検索できるのかな? エマは何が知りたい……?」


「この異次元学校の……こと……?」


「どう帰れるか、だよね」


「うん……知っているようだけど、忘れちゃってるような……前に調べたことがあるような……」


 エマがうーんとうなった。

 二人とも、考えると頭が痛くなる。


「じゃあエマ、異次元学校について検索してみてよ」


「ショウマは?」


「僕は……どうしようかな……うーん」


 ショウマも悩む。


「げっ! あと一分三十秒だって! 私、調べちゃうね!」


「……じゃあ僕も異次元学校について、調べてみよう……かな」


 だけど、ショウマの指の動きは『異次元学校』とは違うものだった。


「あっ……」


 エマも、画面を見て小さく叫んだ。

 そしてすぐに立ち上がる。


 顔は驚きのような、恐怖を見たような……真っ青だ。


「エマ!? なにか、わかった……? 大丈夫?」


「ううん……何も……何もわかんなかった! ショウマは!?」


「……僕も……だよ。同じかな」


「もう何も見ないで! 早く行こう!」


「エマ……?」


 そう言うショウマの顔色も真っ青だった。


「行こうショウマ!」


「うん!」


 少し震えていた手も繋げば温かい。

 廊下のゾンビの死骸は全部消えていた。


「……階段がある!!」


 隣の教室に出現した、階段。


「すごいね。ショウマのプログラミング」


「えっへん。次が一階だ。これで脱出できるね。エマ……!」


「……う、うん……脱出……か」


「どうしたの?」


「ううん! なんでもない! 行こう!」


 二人で手を繋いだまま、階段を降りていく。

 いよいよたどり着いた一階には、何が待ち受けているのだろうか?

  

 

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