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The Real Zombie Survival Game(本物のゾンビサバイバルゲーム)【二階】

「やばいぞ……」


「こっち向かってる!? やだ、どうしよう!?」


 もう一体……のそり……のそりと出てきたゾンビ。


『うがぁああああああああああああああーーーーー!!』

 

 二体で鈍い叫び声をあげた。

 それは、今まで聞いたこともない不気味な声だった。

 

「やっぱり……こっち……来てる……」

 

 そのままゾンビは二体、廊下を歩いてくる。

 まだまだ遠い……だが、確実にこちらへ向かっている。


 いずれこの部屋に来て、二人を襲ってくるだろう。


「エマ! パソコンに戻って、ゲームを操作するんだ! 画面のゾンビは!?」


「ニ体いる!」


「ミサイルを撃つんだ!」


「わかった!」


 廊下を見ていたショウマは、エマがミサイルを撃つ瞬間に、北壁から巨大なミサイル射出機が出てくるのを見た。


「えっ!? 本当にミサイル!? ……なんでもありだな……」


「撃つよー!?」


「いいよ!」


 ドン!!

 ドン!!


 北壁から放出されたミサイルは、二体のゾンビに命中した!


「あっ……あぁ! やった……! やったよエマ!」


「ほんと!?」


 パソコンの前で、喜ぶエマ。

 でも、教室入口から廊下のゾンビが散らばる姿を見たショウマは、吐きそうだった。

 しかし、こらえる。


「これで大丈夫……!? 何体か、ゾンビを倒せばクリアできるよね!?」


「うん。きっと、そうなんだと思う」


 エマが二発発射したミサイルは、上手にゾンビ二体を始末した。

 ショウマは、エマの元へ戻る。

 

「弾の残数はある?」


「五十発もあるよ。あ、クリア条件は~ゾンビを十体撃破せよ! これなら全然行ける!」


 あははとエマが笑う。


「シューティングゲームの名手のエマ様なら余裕かな?」


 ショウマも冗談を言った。


「もちろん! 任せてよ!」


 これは楽勝かもしれない。

 二人がそう思った、その時。


「え? ちょっと……おかしいこのゲーム!」


 ゲーム画面で、撃たれて死んだはずのゾンビのドット絵がまた蘇ったのだ。


「まさか!?」


 ショウマが廊下へ行くと、撃たれたゾンビが立ち上がっていた。

 そして更に保健室から……もう一体が現れる。


「エマ! 撃って!」


「わかった!!」


 エマが撃つ!

 エマの撃ったミサイルは画面と同じようにゾンビ三体をまた撃破した。


「エマうまい! 今度こそ!」


「あと七体だよね!?」


 しかし、その二分後……。


『うぎゃああああああ、がああああああ~~~!!』


 三体のゾンビが復活して、更に後ろから新しいゾンビが保健室から出てきた。

 

「えっ……嘘でしょう!? エマ!! ミサイル!!」


「うん! もう、何回倒せばいいわけーー!?」


 こちらに歩いてきての復活からの、再スタート。

 どんどん二人のいるコンピューター室へと近づいてきてるのだ。

 ショウマと二人で操作して、ゾンビを撃ったが……また復活した。


「あのゾンビがコンピューター室まで来たら、どうなるの!?」


 エマが恐怖で叫びながら、またゾンビを倒す。

 ここまでゾンビがやってきたら……。

 もちろん二人はゲームオーバーになるだろう。


 ゾンビに、食われて……。


「やだぁあああああ!」


 エマが泣き叫ぶ。


「……こんなゲームは明らかにおかしい……!」


 廊下で様子を見ていたショウマが、自分が電源をつけたパソコンへ座る。


「どういうこと……?」


「ゲームとして破綻してる! これはまだ作りかけの失敗作だ!!」


「ええ!?」


 ショウマがゲーム画面を睨む。

 もうゲームは始まってしまっていて、廊下のドット絵とゾンビ、そしてミサイル。

 すごく単純なゲーム画面だ。


「ここのどこかに……何か、あるはずだ」


「どういうこと!? あ、またゾンビが復活した!」


 さらに増えたゾンビ。

 最初の二体は確実に、この教室に近づいている。

 撃たれた場所から復活しているので、何度撃っても距離は縮んでいくのだ。


「このゲームの……どこかにあるはず!!」


「え!?」


 ショウマが、画面をじっくり見て、目を細めた。

 パソコン画面のいろんな場所をマウスで探している。


「ショウマなにやってんの!?」


 エマはその間もゾンビを撃つ!

 でもゾンビは、復活してしまう!!


「ここに、なにか仕掛けがあるんじゃないかと探してる! エマはゾンビを撃って!」


「わ、わかった!」


 ショウマは、この画面がいつも使っている子供用のプログラミング画面とは違うのをわかっている。

 でも、もしかしたらどこかに……!


「あった!」


「あった!?」


 マウスが当たると、画面のすみっこにボタンが出現した。


「リミックスボタン……これだ!」

 

 このゲームのプログラミング画面に入れるボタンを見つけた!

 ショウマはすぐにクリックして、ページを開く。


 そこには複雑に組まれたプログラミングコードが現れた!


「コードを見つけたぞ……!」


 プログラミングコードとは、ゲームを作っている計画書のようなものだ。


「どういうこと!?」


「僕がこのゲームのプログラミングを正しく書き換える!」


 今のこのゲームには、ゾンビをミサイルで倒しても復活してしまうバグ(間違い)がある。


 そのバグを、ショウマは自分で書き換え、ゾンビがミサイルで倒せるゲームにしようとしているのだ。 


「そんなことできるの!?」


「きっとできる……! シューティングゲームじゃなくってサバイバルゲームってこういうことか!」


 まさに、この瞬間は恐ろしいほどにサバイバルだ!

 

「ショウマ! ゾンビがまた復活したよ!」


「これを書き換えるまで、どうにか耐えて……!」

 

「わ、わかった……!」


 プログラミングをショウマが紐解き、エマがゾンビを撃つ!!

 ゾンビがここに来るまでに、間に合うのか!?

 

 

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