15
「これを月に当てるということですね」
僕はモニターに移っている巨大なエネルギー砲の範囲を指差した。しかし、艦長の首は横に振られていた。
「いいやそれは最後の手段だ。まずは君の乗っているエクステリアで敵を殲滅してもらう」
艦長はもう一つ画面をタッチすると、地上の上辺りで僕の名前が出ている長方形が出てきた。
「シオ君には、これだ」
その名前が乗っている長方形のエリアをタッチすると、僕のこれから乗るであろうエクステリアの情報が映し出されている。僕の乗る特別のエクステリア、能力者専用能力増強波搭載済みエクステリアであった。普通の人が乗ることはできないと小さなマークそして、中央あたりには外見の3Dモデルがある。色は黒。そして顔はシンプルな円筒のような形から後ろの方へと角が二本ほど生えていた。カメラアイは中のマスクのような顔面から上辺りに、赤いカメラアイがあった。角はちょうど顔の額の少し上辺りまで伸びていた。体の部分は、いくつもの――ブースターが付けられており、まるで機動性だけで買って見せろといっているように、肩、腕、腰、そして後ろの背中には巨大なプラズマブースター、しかし下半身は、人型とは違うような形状をしていた。足というよりも縦に長いブースターがそのまま胴体にくっついている用でもあった。ここまで機動性を重視しているということに対して僕は不安になった。ここまで付けられていると僕のような突然の対応に反応できないような人間には操作など無理だと感じたのだ。
「しかし、歪な造形ですね」
「君は宇宙そらで戦うからな。ここまでの速度重視の機体は君だけに作られた唯一無二のものだ。君しか乗れないだろう。そのために君という頭の回転がいい人間のために作られたといっても過言ではない」
僕はそこまで頭の回転がいいかといわれれば、正直なところ全くと頭の回転はそこまで速くは無いだろうと僕はそう思っている。僕よりも頭の回転はいい人なんて世界のそこらじゅうを探せばたくさん見つかるだろうと僕はそう思うのだ。しかしそれは沿うとして、僕の能力が『怪死病』として、それが、その病気が僕の『能力』だとして、僕という人間が、このクソはやい機体を使いながら、その『能力』に何の意味があって、このようなチョイスをしたのだろうか?
「しかし、艦長僕は、僕の特性であるこの『怪死病』となんの関係があって、どんな魂胆があってこのような機体を選んだのでしょうか?」
僕は艦長に聞いていた。
「ESP波コンバートシステムが付いているエクステリアで、君の内側へと向けられている怪死の超波を取り込み、そして機体に搭載されている君専用の装置で、死の概念をそのままビーム兵器として使うことが出来る。これは他の超常現象を扱うことが出来る能力者にも実験して、正式に前能力者育成機関であった『大東亜能力者連合』にESP波コンバートシステムが搭載されているエクステリアを、とんでもないような特許価格で売りさばいているよ、国家公務員である私たちがあのテロ風情に落ちた日本能力者機関にこうして売りさばいているのは愉快な話だろう」
男は自身の話に鼻で笑っている。ここにきて彼という人間は自身の正義の在り方に自傷を交えるような発言をしていたのだ。となると彼から本当の正義の味方になりたかった過去が見えてしまった。しかし見えたからといっても、それは僕の勝手な推測であり、もしかすると僕個人の妄想を膨らませただけなのかもしれない。しかし彼が、こうをしてまでも、やらなければならない理由があったのだろう。いずれにしても僕には関係が無い話であった。僕という人間は現在進行形で世界を背負っているにも関わらず、一人のこれまでを聞いてしまうほど、僕は背負いたくも無かった。いいやあまりにも無駄な、感情移入をしたくはないとそう考えてのことである。しかし艦長という一人の男ではなく、女性が僕にたいしてそんなことに、このような状況になってしまっていたら、僕という人間は聞いてしまいそうな気がしなくもない。
「死の概念を思い通りに、そして無数に打てるとなると、僕はとんでもないような人間になりますね。まったくこれまでのふせんがあの病院での空白の3年間だったのか」
僕という人間はまったくと、これからばったばったと敵をなぎ倒していくような人間になってしまうんだろうなという確信があった。しかし僕は仮に敵を倒しまくれるほどの能力を有していたとしても、僕にとってはそれは本当にどうでもいいようなことであった。あまりここにきて最強になっているという感情が沸かなくなってしまったというのは僕という人間がここまで僕に固執がなくなってしまったからであると、僕はそうながれるようにして推測している。正直世界のことなんてどうでもよくなっていたというのは、内緒である。こんな腐っている世界がここにきて消滅してしまっても、僕には何の関係も無く、そしてどのような接点もなくしてそれで完結してしまう、僕の人生と僕の物語であろう。しかしだ、僕は、僕という人生はここで”暇つぶし”をしてしまってもいいのだろう。将来なんて僕にはまったくとわからないし、僕がもし負けてしまってすぐさま世界は消滅してしまうかもしれない。しかしここまでして彼らが大掛かりな”暇つぶし”を持ってきたというだけでも、彼らにも感謝をするべきであると僕はそう思っている。その感謝を兼ねても世界を救ってみるのも悪くは無いなとそう考えていた。




