モフモフは世界を救う
こんにちは、私の名前はアリシア。
私はラシル王国にある、ごくごく平凡な村のごくごくありふれた農家の夫婦のもとに生まれた。そんな私はありふれてない部分が一つだけある、それは...私にはいわゆる前世の記憶というものがあるところ。
生まれてすぐに日本という場所のK県のA市で生まれ育ち、ある日、飛び出した猫を庇ってトラックに轢かれて死んだ前世の記憶を思い出した私は地獄の幼少期(自我がある状態での授乳はキッツイ!!)を乗り越え、何とか少し頭がいいだけの少女としてやってこれた。
そんなこんなで、ついに私は16歳(この世界でいうところの成人)を迎えた。
両親や村の人たちから少しずつ情報を集めてこの世界のことを少しずつ理解できた。
1,この世界は現在、人間VS魔王の戦争をしてること。
2,別の世界から勇者を召喚してはことごとく魔王軍に倒されてること。
3,この世界には様々な種族がいること。
だ。
この話を聞いた私はある決断を下した。
「父さん、母さん。私旅に出ることにするよ」
「何を...何を言ってるのシア!?」
「そうだぞ!お前は女の子なんだぞ!!旅なんて危ない事...!」
両親は反対した。
もちろん簡単に旅に出してもらえるとは思ってない。一人娘の私をとても可愛がってくれてたのだ彼らの心配は理解できる。でも...
「二人の心配は痛いほどわかるの、でもこれを見て」
「こ...これは?!」
「そんな...」
私は手の甲を2人に見せた。そこには、聖痕と呼ばれる痣が浮き上がっていた。この世界では昔からこの痣が出た者は聖者として魔を滅する力があると言われていて、これが浮き出た人は王都に行って王様に会わなければいけないのだ。
「あぁ...私たちは普通の幸せを手にして欲しいだけなのに」
「まさかシアが古来より語り継がれていた聖者だったなんて...」
「ね?だから私は行かないと、この世界を包む闇を勇者様と祓うのが私の使命なの」
2人はしばらくボー然としていたけど、覚悟を決めた私の顔を見て頷きあうと、クローゼットから何かを取り出してきた。
「これは?」
「これは母さんの姫騎士の鎧と父さんの聖鉄から作られてる片手剣だ」
「実は母さんはユグド王国という国のお姫様だったの。だけどその王国が魔物に襲われてね」
「その時、母さんの護衛だった父さんが何とか母さんを連れてユグド王国ともともと親交のあったこのラシル国に逃げてきて、その時生き延びた国民たちとこの村を築いたんだ」
そういえばこの村ユグド村だ...。
母さんと父さんの話を聞いて、驚いたけど納得した。だってこの村の人たちは父さんと母さんをおかしいくらい慕っていたからだ。
「そうだったんだ」
「ああ、この姫鎧には母さんと父さんの祖国の国旗が刻まれてる。これを見ればシアが誰の子なのかきっとわかる人は分かってくれる」
「シア、無事で戻ってきてね?シアの大好きな料理を作っていつでも待ってるわ」
「うん」
こうして、母さんの姫鎧と父さんの片手剣を装備した私は城に向かう為に旅に出た。
村人にはものすごく泣かれた...。
村を出て数日、とくに問題もなく森の中を歩いてると何科の物音がしたので音の発生源を探した。
すると、そこには緑色の小さな体をしたゴブリンが3体ほど集まって何かにこん棒を振り下ろしていた。
よく耳を澄ませると、ギッ...!とかニャッ...!と聞こえ、かわいそうに思った私はゴブリンたちの後ろに回り込み、1体を切り伏せた。
すると、私に気づい残りの2匹が襲い掛かってきたけど私はその攻撃をよけて2匹とも切り伏せた。
「ふぅ...。大丈夫か?」
「...」
ゴブリンに攻撃されてたモノを見ると、それは猫だった。
しかも前世でトラックから助けた猫にすごく似てる子だった。
「...まだ生きてるね、これを飲んで?元気になるから」
猫の口元に瓶の口を当てて飲むように言った。猫はしっかりと瓶の中身を飲み干してくれた。飲み終わると猫の体にあった傷はみるみる治った。
「これで大丈夫ね」
「危ないところを助けていただきありがとうございましたニャア」
「ううん、気にしない...で?」
私は今一人で旅をしてる。そばにいるのはさっき助けた猫だけ。
じゃあ今話したのは?
「初めまして、私ケット・シーのミンクというものですニャ。よろしくお願いしますニャ」
「ケット・シー?」
「はいニャ」
「あの猫の妖精の?」
「はいですニャ」
「...」
「あの?」
説明しよう。私アリシアは前世からそうだけど動物が大好きなのです。特にモフモフが大好きだったのです。そんな私の前に猫の妖精がいます。さあ、私はこの後どうするでしょう。
答えは...
「うわーーーー!!!」モフモフモフモフ・・・・
「ニャアアアーーーーーー!!!!!」
ひたすらモフるでした。
ヤバい、超モフモフ!モフモフ!!モッフモフ!!これはヤバい!ヤババババイ!!!!え?これはすごい!やっぱりモフモフは世界を救う!魔王軍も人間もみんな猫飼えよ!そして戦争なんてやめてモフモフ天国に堕ちよう?
数時間後
「ふぅ~、満足したよ」
「にゃあぁ~」
私のモフモフが気持ちよかったのかミンク君は喉をゴロゴロ鳴らしてヘロヘロになっていた。
「ところでミンク君はこんなところで何してたの?」
「はい...このあたりの村に聖者様がお生まれになったようで、成人を迎えたと報告がありお仕えするために会いに行く途中だったのですニャ」
「なるほど...。私がその聖者だよ」
「へ?」
「ほら」
私はミンク君に痣のある手の甲を見せた。ミンク君はその痣をじっと見つめた後、胸に手を当てて跪いた。
「聖者様、私ミンクは生涯をかけてあなた様にお仕えすることを誓いますミャ」
ミンク君が言うと、手の甲の痣が光ってミンク君の額?頭?の所にも同じ模様が浮き上がった。
「これは?」
「はい、私が聖者様の剣族になった証ですニャ。聖者様に忠誠を誓った精霊や妖精や魔物は聖者様と同じ聖痕が体のどこかに浮かぶんですニャ。そうすれば契約完了ですニャ!」
「ふーん...私に拒否権は?」
「拒否するんですかニャ...?」ウルウル...。
「うっ...わかった。私はアリシアだよ。よろしくね」
「はい!アリシア様
私はミンク君のウルウルのお目目に負けて頷くことしかできなかった。こんなかわいい子のお願いを断れるわけがなかった。なんかはぐらかされた気もするけど、気にしません!文句は受け付けません!!
とそんなわけで、ケット・シーのミンク君が仲間になった。
ミンク君と楽しくおしゃべりしながら旅を続けていると、道端に誰かが倒れてた。なんだなんだと思い見てみると、黒髪のイケメンが落ちてた。
「君、大丈夫?」
「う...ん?ここは?」
「ここはラシル王国のはずれの森だよ。どうしたの?何かあった?」
「お...」
「お?」
「お腹空いた...」
「「へ?」」
そういうと、青年のお腹がグ~と鳴った。とりあえず、この空腹青年に何か食べさせるか。私は父さんからもらったキャンプセットを取り出して味噌汁を作り始めた。(味噌は村にいたころに両親が育てた大豆から練成した)
具は豆腐と大根。
「アリシア様これは何ですかニャ?」
「これはね、味噌汁っていうのとてもおいしいの。はい、熱いから気を付けてね」
「ありがとうございますニャ!...ハフハフ!...ゴクゴク。!!おいしいですニャ!」
「口にあってよかった!はいこれ飲んで」
「あ、ありがとうございます...ゴクゴク」
青年は味噌汁を飲むと驚いた顔をして私と味噌汁を見比べた。私はその顔を見て気づいた。
(あ...この子多分日本人だ)
この出会いが私とこの世界を大きく変えるなんてこの時には想像もしてなかった。




