悪いことはしちゃだめ?
「なあ、魔法が使えるからホーマってちょっとダサくない?」
文句言わないでよ。第一よろしくね!って言ったらこちらこそよろしく。でしょうが!まあいいや。そんなことよりお父さんとお父さんの弟との会話が気になるんだけど。
「ああ、それは俺も。」
というわけで私たちはもう一度盗み聞きをすることにした。
どうやら、ようやく本題に入ったようだ。なんて前置きが長い奴だろう。
「兄さん、今日で兄さんの子供5歳なんだろう。だから顔を見ておこうと思ってね。もしその子が女の子だったら僕の子供にこの領地を譲ってね。僕の子供も今年で5歳で男の子なんだ。」
ふーん。なるほどね。お父さんが弟のことが嫌いな理由が少し分かった気がする。領地をめぐって争っているのだな。けれど長男であるお父さんがここの領地を継ぐのは当たり前なはずなのにどうしてそんなにこの領地を欲しがるのだろう?
「断る。お前の子供にこの大切な領地を譲るものか。」
「じゃあ聞くけど兄さんの子供は男の子なの?」
違いますよー。バリバリきれいな女の子でーす!けれどお父さんは一拍置いてから
「そうだ。」
と言った。
違いますよー。私は女の子ですよー?え、なに、私の性別とか公表されてなかったの?
「兄さん、それ本当?本当なら兄さんの子供見せてよ。」
ヤバい。父ピンチ!どうするんだろう。
「いいだろう。今日命名式をする予定だったんだ。ついでに見ていけ。」
「ふーん。じゃあ楽しみにしてるから。」
父さんマジでどうする気?そこで私はバートさんに首根っこをつかまれた。何で!
「ああ、すまん。言ってなかったっけ?名付けをするときはかけてる魔法が全部解除されるんだ。」
ホーマ!それ早く言えよ!
「お嬢様、違うお部屋に行きましょうか。」
「ご、ごめんなさい。」
悪いことをするのはよくないよ!この学びは一生覚えておくとしよう。