理不尽な父親
~5年後~
「お母様、おはようございます。」
どうやら私は身分の高い家に生まれたらしい。いわゆる貴族ってことだ。ウォーター家っていう家名の家だ。それに今日は私の大切な日だ。そう、誕生日だ!しかもただの誕生日なんかではない。異世界では、5歳になるとようやく名前がつけられるのだ。さらに外に出られるようになる。貴族の子供は5歳になるまで外に出てはいけないという決まりがあって随分退屈した。まあつまりいろんな縛りから今日解放されるのだよー!
「おはよう。私の娘。誕生日おめでとう。」
「ありがとうございます。」
私の第2の母親はすごく優しくて、べっぴんだ。ただちょっと天然で、お皿とスプーンを間違えることなんてよくある話。
「今なんか、私の悪口言った?」
天然のくせに鋭い。おっと第2の父親がきたぞー。助かったと思いつつ挨拶に向かう。
「お父様、おはようございます。」
「うむ、おはよう。今日はわが娘の誕生日か。そうだ、今日外に出るのが初めてだったな。つまりここの領土の住民にもおぬしのかわいい顔がみせられるな。」
そういってわしゃわしゃ頭をなでてくる。ちょっと嬉しい。いや、そんなことより「ここの領土の住民にもおぬしのかわいい顔がみせられるな。」なんてこと言ってなかった?無理無理無理。ニートがいきなり人の前にたてるかよ!