第七話語られる真相
内容はタイトル通りです。今回は早めに投稿できました!
「話を聞きましょうか。」
そういった彼だが、テラスの方に向き直った。
「お嬢様!もう出て来てもよろしいかと、この方々は、客人です。玄関から入り直させます。」
と言うと、さっきテラスの傍で本を読んっでいた女性が出てきた。テラスには、もう一人、紫の髪で背中から蝙蝠のような羽をはやした青年が出てくる。こちらは執事服を着ている。
「クリス、窓ガラスの掃除をお願いします。鎌を持った方と、無様に網に絡まってる貴方も一緒にお願いしま
すよ。」
俺の事か。
「了解ですケイ、サキさんは、このままお上がり下さい。」
クリスがそう言うと彼女は首を横に振り、
「ううん。彼らに忍び込んでってお願いしたのは私だから。」
と言い、一足先に掃除を始める。
「いかん、レディに掃除させる訳には、」
先輩も始める。クリスと俺も、少し遅れて開始する。
付け加えておくと、掃除は三十分ほどで済んだ。
「で、何なのでしょうか?わざわざ身元を突き止めるためにあの嫌らしい奴隷売人の元を訪れてまで此処に来
た理由と言うのは。」
「何で急に居なくなったのか知りたくて………それに、分かったらなおさら気になるよ。何で奴隷なんか
に身を落としたの?」
「なるほど、はぁ、寄りにもよって一番面倒な………」
これだけは知られたくなかったんですよ。彼はそういってもう一度溜め息をついた。
「母のためです。」
「え?」
何言って、お前が奴隷になったせいで母が死んでんのに母のため?ふざけてるのか?
「母は、待遇のいい仕事があると言いましたよね、それは夜の仕事だったんですよ。」
「そう、だったんだ。」
「だから、僕は奴隷に身を落としました。母にそんなことはさせたくない。それが僕の思いでしたか
ら。」
「何だよ……………何だよそれ!」
「え?」
気付いたら、俺は叫んでいた。
「お前の母親が何で水商売しようとしたか分かってんのか!?お前にいい暮らしさせたいからだろ!?なの
に、自分で奴隷に身を落として、そのせいで母親が死んだら………本末転倒じゃねぇか!何でそんなこと
したんだよ!?」
「ッ!そんなこと………待ってください、今なんて?」
「だから!何でそんなことしたんだよ!?お前!」
「その前です。母さんが、死んだ?」
「ああ!お前のせいでお前の………待ってくれ、知らないのか?」
俺の心の熱が一気に冷めていった。代わりに何か違う感情が芽生える。全身に薄い氷の剣を向けられている。様な感覚。これは………何?………悪寒?
「僕の母は、生きてますよね?母さんとは………ついこの間も………手紙のやり取りを………僕の仕送りの
おかげで………だいぶ楽な暮らしが出来てるって………じゃあ、僕が話してた母さんは………。」
彼は俺との口論で立ち上がっていたのだが、ペタリとその場に座り込んだ。顔も中性的で美形のクリスだ。もし来ているものがドレスでキョトン顔なら絵になっただろうが、そんな事言ってる場合じゃない。
「はめられたみたいだな。奴隷のお前が周囲の状況を分からないのをいいことに、お前の母親の仲介役の
ふりして金をだまし取ったんだな。で、「フ、フフフフフフ、アッハハハハハハ!」…………あ?」
ミヤビ先輩の話を遮り、彼は高笑いを始めた。
「仲介人の正体は心当たりがありますよ。カイセイ・オオタケと名乗ってましたよ。弁護士だともね!復
讐だ!僕の気持ちを踏みにじったこと!僕の敬愛する母の名前を悪用したこと!全てねぇ!」
どうも砂原凜太郎です。今度、二次創作小説を別サイトで上げる予定なので、楽しみにしていてくださるとうれしいです。次回は、クリス怒りの全力が見れるので楽しみにしていてください。