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表裏世界と何でも屋  作者: 砂原凜太郎
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第四話 クリス・シルバーを訪ねて前編

遅れました。済みません。

 翌日、ヘリムと共に『ぐりむりーぱー』へ向かった。ここは、サンドイッチとコーヒーが絶品で、この辺りで一番のカフェだ。俺の協力者でもある店長のブライトに、個室を用意してもらってる。今、俺達は依頼人の女子高生と向かい合っている。ウエイターが、飲み物と、サンドイッチを運んでくる。そのサンドイッチが半分ほど消えたところで、彼女が口を開いた。

「サキ・キヨハラと申します。依頼なんですけど、電話で話した通り、人探しをお願いしたいんですけど、」

「捜索対象のことを詳しくお聞かせください。」

「はい、探して欲しいのは、彼です。」

 と言い、写真を出す。その写真には、片眼が隠れた、銀髪の青年がいた。大人しそうな微笑みを浮かべているが、その表情は、どことなく悲しそうだ。

「クリス・シルバー、年齢は、私と同じ17歳です。

「獣人族ですか、彼。」

 俺の質問に、彼女はコクリ、と、うなずいた。対象は、髪と同じ、銀色の犬の様な獣耳が、生えていた。

「狐種だと言っていました。」

「どれくらい前に居なくなられたんですか?」

「二年程前です。」

「二年…………………。」

 ヘリムが顔を引きつらせる。それもそうだ。居なくなって二年、これはかなりの月日だ。もしこれが、臓器売買や人身売買目的での誘拐なら、取り返しがつかなくなってる年数だ。何故そんな物騒なことを言うのかって?獣人族は、人間から最も嫌われてる種族だ。獣人族なら何をしてもいい。そう考えてる人間はいくらでもいる。

「なぜそれほどの年数、放っておいたんですか?」

 俺は、少し責めるように言った。すると彼女はうなだれ、言った。

「彼の家は、貧乏なんです。父親は出ってったらしくて、母親が女手一つで彼を育て上げていまし

 た。幼稚園のころから一緒なんですけど、母も私と彼が仲良くしてるのを、快く思っていなかった

 みたいです。私が通っていた私立平山中学にも、奨学金を使って登校していました。」

「頭良かったんですか?」

「いじめの標的にされるほどです。」

「なるほど。」

 と言い、アイスコーヒーを一口飲む。

「三年生の中旬に彼が急に居なくなりました。その翌日、近くの河から彼の母親の水死体が挙がった

 んです。家からも、母親の遺書が見つかったそうです。だから一家心中を図ったんだろうって、」

「何か、腑に落ちない点があるんですね?」

「はい、それも色々と、……………。」

 色々と?ヒントになるかもしんねぇ、聞いてみよう。

「詳しく教えてくださいませんか?」

「はい。まず、遺書なんです。その遺書には、『息子(クリス)が置かれた状況を知り、耐えられ

 なくなった。』と書かれていたんですよ。一見、息子貧乏だからいじめられていたということを知

 り、それに今まで気付けなかった自分の不甲斐なさを悔いて自殺したという風に見えますが、」

「一家心中の理由としては薄いな。無能な警備隊の奴ら(ポリ公連中)も、それ位は気付くだろ

 う。一応操作は行われたんじゃないのか?」

「はい。でも、見つからなくって、それに、考え過ぎかもしれないんですけど……………。」

「『置かれた』ってのはおかしいな。いじめのことなら、『置かれていた』というのが正しい。」

「か、考え過ぎでは?」

 ヘリムはそう言う。

「ですよね…………………警察にもそう言われましたし……………。」

「いや、貴重な情報有難うございます。他にもあるんでしょう?話して下さい。」

「はい、後は、クリス君のお母さんは、とても自殺するような人じゃない気が………。」

「それはどういう事ですか?」

「あの人は、自分の能力が、回復系なことを利用して、普通の人なら過労死しておかしくないほど働

 いてたんです。それもこれも、クリスに楽をさせるために、そんな人が、息子を残して死ぬはずあ

 りません。だから、おかしいと思ったんです。それに、最近良い条件の仕事を見つけたって、言っ

 てたんです。」

「確かに、死ぬ要素皆無だな。となると……………………。」

「有難う御座います、サキさん。ただ、安心してください。彼は死んでいません。」

 と言い、金を置いて俺は席を立つ。この言葉に二人は驚いたようで、サキは、

「え?」

 と、困惑している。ヘリムも困惑しているのか数秒固まり、

「ま、待ってください、先輩!」

 と言い、慌てて追いかけてくる。


 その後、俺はある場所を目指し向かって行った。ヘリムは、黙って付いて来ているが、不服そうだ。

「どうした、ヘリム、何か不満か?」

 というと、ヘリムは怒ったように言う。

「『どうした?』じゃないですよ!『参考になりました。』とか、『その人は死んじゃいません』と

 か、何なんですか?彼女への気休めのつもりですか?どう考えても死んでるじゃないですか。あん

 な嘘をつく必要がどこにあるんですか?」

 と、怒鳴り散らす。

「ヘリム、俺は嘘はついてない。あいつは死んじゃいねぇよ。」

「何を根拠に言ってんですか?」

「勘だよ。」

「は?」

 俺の言葉に、ヘリムは呆れ返ったような表情を見せた

「俺は、死神と人間のハーフだ。人の生死については、勘でわかる。俺を信じろ、ヘリム。俺の勘が

 言ってんだよ。あいつはまだ死んじゃいねぇ。死んでねえなら何とかなる。」

「じゃあ、あの言葉は?」

「ヘリム、お前は『殺し屋』なら一流かもしれねぇ。でも推理については三流だ。いいか、どんな小

 さな手がかりでも逃すな。少しでも、『怪しい』と感じたら、徹底的に調べ上げろ。犯人に容赦す

 るな、叩きのめせ。今から俺がそれを実践する。よく見とけよ。」

 そういうと俺は、無言である場所へと向かった。










今回はここまでです。どうでしょうか?もしよければ感想お願いします。次回は、回答編少し、戦闘も書こうと思ってます。

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