第三話 嫌な予感は不幸の前兆
どうも砂原凜太郎です。次話投稿させていただきます。今回から、依頼解決していきます。
彼の面接を義兄さんは半ば強制的に終わらせると、その数分後、プルルルル……………と、事務所の固形電話が鳴りだした。
義兄さんは、豹のごときスピードで受話器を取ると、満面の営業スマイルを浮かべて言った。……………見えないのに。
「はい、こちら、雅死神探偵事務所です!ご用件をどうぞ!…………はい、………はい、で、場所
は、………はい、…………」
と、言いながら、依頼人から何か言われてるのか、何かをメモしている。
「え?アキラをですか?」
え?俺?
「はい、かしこまりました。…………はい、この度はご利用ありがとうございます!依頼料ですが、
指定の口座に…………え?もう振り込んである?そうですか、失礼いたしました。それでは!」
と言うと、カチャリ………と、優しく受話器を置く。すると俺の方に向き直り、
「アキラ、ご指名の依頼だ。第6地区第一区画の対異界人専用刑務所〈トットリ刑務所〉なんか一人
感染症にかかったそうで、『受刑者の間ではやるのを防止するため』その男は感染症が完治するま
で出勤停止になったそうだ。」
「『処分』は付かないの?」
「何かやらかした訳じゃねーからな。」
と、苦笑しながら言う。
「で、感染症がかかるまで一週間ほど、掛かるそうだから、その間、その職員の代行をしてほしいそ
うだ。」
要るの?たかが一人休んだだけだろ?
「どの業界でも、人手不足は深刻な問題らしい。」
なるほど。
「で、このIDで第六地区まで、政府専用道を使えるらしい。こいつで行くようにと。」
「太っ腹ですね。政府専用道まで使わせてくれるなんて。」
と、ヘリムが口を挟む。
「できるだけ早く来てほしいんだと。」
というと、さっき何やらメモしていた紙を渡す。
「住所だ。これとケータイマップ頼りに来てくれと。」
「了解。」
俺は、家に代々伝わる二丁拳銃。『風銃ブルーウィンド』を差したガンベルトを腰に着けると、扉を出て、クラウチングスタートの構えを取る。靴の踝の部分に触れる。すると、無骨な編み上げブーツが、金色の細かい装飾が施されたメタリックブルーのブーツに代わる。俺が昔麒麟の子供を助けたお礼にもらった『獣具麒麟の脚』光速に近いレベルのスピードを発揮する代物が解放されたのだ。俺は物凄いスピードで第六地区まで向かった。
俺とヘリムが残された事務所の電話が再び鳴り出した。
「はい、こちら雅死神探偵事務所です!ご用件をどうぞ。」
とびっきりの営業スマイルを浮かべて言う。相手には見えないだって?気にするな。
「あの、雅死神なんでも事務所ってこちらで合ってるでしょうか。」
こ、こいつ、何故此処が実質何でも屋で探偵事務所と言い張っているのが俺だけだと知っている?
ピシリ…………俺の顔が引きつるのを感じる………。いけない。平常心だ平常心。心の中で十回唱えろ、平常心平常心平常心ヘイジョウシンヘイジョウシンヘイジョウシンヘイジョウシン…………。
「あの…………大丈夫ですか?」
受話器から声が聞こえて我に返る。なんという失態!依頼人を待たせるとは、とはいえ訂正はしなくては………………………………
「雅死神探偵事務所なら此処でございます。」
『探偵』の部分を強調して言う。
「そうですか……………あの、依頼があるんですけど、」
「何でしょうか、」
「人探しをお願いしたいのですが。」
「では、詳しく話をお伺いしたいので、カフェ『ぐりむりーぱー』へ、明日の午前11時30分にお越し
下さい。」
カチャリ。と、優しく受話器を置く。
さてと……………なんかめんどくさい事になりそうだ。
「どうしたんですか?ミヤビ先輩。」
「いや、なんか嫌な予感がな……………。」
この時俺はまだ知らなかった。これが面倒事の前兆だとは……………………。
ご愛読有難う御座います。読者様は神様です。読んで好評化を押してくれるほど嬉しいことはありません。