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2:『聖女②』
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私が次に目が覚めた時、それはありきたりだけど知らない天井。
知らないベッド、知らない部屋だった。
「おはようございます、聖女様」
自分に起きたことを、まだ覚醒していない頭でなんとか理解しようとしていると、自分の右手側から声をかけられる。
私を呼んだ声、私に聖女かどうかを聞いた声。
「お、おはよう、ございます……」
その声の方に顔を向けると、優し気な顔で微笑む女性がいた。
年齢はいくつだろう、私と同じくらいだろうか、そこまで年齢は高くないとは思うけれど、日本人とそれ以外の国の人の場合、年齢がどれくらいかの判断は私には出来ない。
「聖女様は1時間ほど、眠っていらしたのですよ」
眠っていたからだろうか、乱れた私の前髪をゆっくりと手櫛で梳いてくれる。
猫が気持ち良い時にするような顔で、それに甘えてしまう。
触られたくないとか、拒絶するような感情が沸いてこない。
気持ち良いのだ。
何も喋らなくても、何かを問うことがなく、彼女のしてくれることに私は甘えてしまう。
これが聖女と姫様の出会いと物語のはじまり。