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東方星剣異聞  作者: くぅすけ
6章 白銀と幻想、幽し桜の夢
93/106

93.半人半霊の憂鬱





日ももう傾きつつある昼下がり。


彼女は博麗神社裏の森の中を歩いていた。


木々の間から差し込んでくる日の光に目を細めながら、森の奥へと進んで行く。


ーー皆どこにいるんだろう?


せっかく遊びに来たのに。


境内に誰もいないなんて珍しいこともあるものだ。


この辺から声が聞こえて来たと思ったんだけど......。


「あはは......確かに..........よな。」


「ん?」


左手の茂みの方から魔理沙の声が聞こえて来た。


草をかき分けながら声の方へと進むと彼女はようやく目当ての人影を見つけた。


霊夢と魔理沙、それにレンもいるようだ。


おーい、と三人に声をかけようとしたその時。


「ほんっとアイツ迷惑だよなぁ。半人半霊のくせに。もしかして本気で私達のことを友達だとでも思ってるのか?」


ーーえっ......?


「さあね。性懲りもなく遊びに来るあたり、本気で思ってるんじゃないかしら。ああいうのが一番タチ悪いわよね。なんの権利があって半分化け物のアイツが人間の私たちに馴れ馴れしくして来るのかしら。ねぇ、レンもそう思わない?」


「あはは......まぁ流石にちょっと馴れ馴れしいにも程があるかも。この前の宴会の時に酔っ払ってべたべた甘えて来た時は流石にドン引きしちゃったかな......」


「っ......。」


あれって全部私のこと......だよね。


「あはは、レンも意外とバッサリ言うんだな。今度遊びに来たら直接本人に言ってやりゃいいのに。」


「それは流石にやめときなさいよ。あの娘、あんたのこと大好きじゃない。そんな風に面と向かって悪口言われたら泣かせちゃうわよ?あの娘を泣かせたら幽々子が怖いんだから。」


「けけけっ、でも確かにアイツ一人で勝手に勘違いしてるよな。こんなに嫌われてるのに......可哀そーなやつ。」


「ほら本当にそろそろやめときなさい。本人がそこで盗み聞きしてるの、気付いてなかったの?」


「いや、もちろん気配で気づいてたぜ。わざとに決まってるだろ、わざと。......ほら妖夢、そこに隠れてないで出てこいよ。今の全部聞いてたんだろ?」


三人の笑い声が残響のように響く。


脚に力が入らなくなって、妖夢は草の上に膝をついた。


......私のこと、そんな風に思ってたんだ。


霊夢も、魔理沙も、お師さまも。


やっぱりそうだよね。


私、半人半霊だもんね。


人の子に混ざって遊んじゃいけないんだもんね。


頬を一筋の雫が伝い、その細い顎から地面へと滴り落ちたその時。


急に視界が真っ暗になったかと思うと、次に目を開けた時には視界に映るものは見慣れた自室の天井へと変わっていた。


薄暗い部屋に、障子の隙間から朝日が差し込んでいる。


「......。」


妖夢は上体を起こすと目の端に滲んでいた涙を拭った。


ーー夢だったか。


まだ頭の中に響いている不快な残響に顔を顰める。


普段なら心地よいはずの微睡みが、今は不快なものでしかない。


腕を首の後ろに回して大きく伸びをした後、再度彼女はうつ伏せに寝っ転がってその小さな顔を枕にうずめた。


「もう嫌......。」


......最近こんな夢ばっかりだ。


自分の友達......霊夢や魔理沙、鈴仙や早苗、咲夜。


時には幽々子や紫、レンに至るまで。


皆に悪口を言われて、笑われて。


一人ぼっちになる夢。


こういう夢は寝覚めが悪くなるから大っ嫌い。


そんな夢を見てしまう弱っちい自分のことはもっと嫌い。


霊夢も魔理沙もお師さまも、決してあんなことを言ったりはしない。


言ったりしないってわかってるのに。


......いや、本当は私のいないところで言ってるのかな。


春雪異変......初めて霊夢と魔理沙に出会い、弾幕ごっこでぼこぼこにされたあの日から私は顕界へ頻繁に出て行くようになった。


時には異変解決に乗り出してみたり、宴会で馬鹿騒ぎしたりして少しは友達や知り合いも増えたかなって思ってたんだけど......。


やっぱり私は一人ぼっち......なのかな。


脳裏に先日の霊夢とレンの神社裏でのやりとりの様子が何度も何度もよぎる。


......私って嫌な子だな。


きっとあの光景を見たから、私はショックで無意識のうちに卑屈になってこんな夢を見ているんだ。


友達の恋の成就は喜ぶべきことだと言ってるじゃないか。


それにお師さまの幸せを本当に願うのならば私は彼に嫌われた方がいい。


自分から彼に対して距離を取って、私は幽々子様への御奉仕と剣の修行に打ち込むって決めたんだ。


頭ではそうしなきゃいけないって分かってるのに、やっぱりどうしても彼のことを思い出すと苦しい。


ーー会いたい。


お話いっぱい聞いてもらいたい。


甘い物を食べに、茶屋に連れて行って欲しい。


小さな子供のように甘えたい。


いつまでもこんな風にねちねち言ってる自分が大っ嫌い。


毎日朝起きるたびにこんな風にじめじめ泣いてばっかり。


嗚呼、彼と一緒に過ごした記憶が全部消えてしまったらどんなに楽だろうか。


一度好きになってしまったが最後、彼が他の子のものになってしまうという悲しさと寂しさによってじわじわと心が蝕まれていく。


ーーなんかもう......今日の朝の鍛錬はいいや。


妖夢は顔を枕にうずめたまま再び目を閉じた。




※※※





「せいっ!......はっ!!」


乾いた音を立てて刃が空を斬り裂く。


ーーもっと巧く、疾く、鋭く。


一つ一つ足捌きと体軸の移動の仕方を丁寧に確認しながら刀を振るう。


暫くそのまま型の練習をしている内に、だんだんと息が上がって来た。


まだ春先で、肌寒い気温であるのにもかかわらず頬を玉のような汗が伝っていく。


妖夢は一つ溜め息を吐いてから、構えを解いた。


「......。」


......全然集中できない。


いつもならどんなに嫌なことがあっても一度稽古を始めれば没頭できるのに。


いくら剣を振るっていてもやはり脳裏には、ここ最近眠るたびに見る悪夢とあの宴会の日の夜中に見た光景が何度も何度もよぎる。


考えたくもないのに、頭の中を空っぽにしようとしてもしつこく勝手に湧き上がって来る。


次いで浮かび上がったのはやはり諦めの付けられない己の師への想いだった。


ーーお師さま......。


ふるふるとかぶりを振り、天を仰ぐ。


納刀すべく無意識のうちに鞘の鯉口に楼観剣の峰を滑らせ、落とし込もうとしたその時。


「痛っ......。」


手に鋭い痛みが走る。


見れば親指と人差し指の間に小さな切り傷。


どうやら刀の刃で浅く手を切ってしまったようだ。


彼女は傷口から滲み出て来た赤い雫を舐め取り、服でごしごしと拭った。


ーー抜き身の刀を握っている時に余計なことを考えた自分への罰だ。


拭っても拭っても少しずつまた傷口から滲み出て来る血を見て、妖夢は再びため息を吐いた。


......駄目だ。こんなでは私は一生前へ進めない。


「......。」


妖夢は目を瞑ると強く念じた。


自分の意識を二つに分けるような......そんな感覚。


半霊で身体を作って、あとはそこに分割した意識を送り込めば......。


彼女が次に目を開ける時には、目の前に自分そっくりの写身(うつしみ)が立っていた。


分身......と言ったら正しいだろうか。


約一年前の春、西行妖の霊力を受けて妖夢の半霊が暴走する出来事があった。


結局その時は半霊の方に負けてしまったがあの一件以来、妖夢は自分の半身を上手く使えば分身できることに気が付いた。


たった今彼女は自分の半霊を使い、その方法に則って分身を作り出したのだ。


一つ深呼吸をした後妖夢は鯉口を切った。


左手で柄を握ってそこに右手を添え、半歩足を引いて静止する。


対する分身の方も同じように刀を抜き、構えた。


真剣を持った相手と対人戦をすれば、緊張感を持って修練をすることができるかもしれない。


多少危険はあるが、あちらに斬られる前にこちらが峰打ちで決着を付ければ大きな怪我は負わずに済むはずだ。


ーーそれに斬るか斬られれば少しはこんな気持ちも吹っ切れることができるかもしれない。


そんな淡い期待を胸に、妖夢は地面を蹴った。


刹那、白玉楼の中庭は凄まじい剣戟の嵐となった。


袈裟掛け、横一文字、逆袈裟。


二つの閃光が百坪強もの広さを誇る白玉楼の中庭をいっぱいいっぱいに使って激しくぶつかり合う。


刃と刃が交差するごとに火花が散り、大気が振動し、屋敷の柱を揺るがす。


側から見れば実力は互いに互角。


当たり前だ。どちらも同じ妖夢なのだから。


実力が拮抗しているが故に互いに一方的な追撃を許さない。


妖夢自身が刀を振るえば、半霊はそれをかろうじて弾く。


半霊が隙をついて反撃すれば、またかろうじて妖夢自身がそれを弾く。


自分を相手に剣を交えるうちに、妖夢はある種の高揚感を覚えていた。


......何だろう、この感覚。


素振りや型の練習をこなした後でもう手首もだいぶ痛いのに、衝動に突き動かされるように彼女は剣を振るう。


純粋に剣力を惜しみなく相手にぶつける喜び。


楽しい......とはまた少し異なる感情ではあるが、自分が高揚感に近いものを感じていることに妖夢は気づいていた。


やがて斬り結んでいる相手が自分の半身であることも忘れて。


ーー斬りたい、斬りたい......。


......“斬り伏せろ”。


特に相手に憎しみを抱いているわけでもないのに、剣を振るうことに没頭しているうちに目の前にいる自分の半身をめっためたに斬り刻みたい衝動に駆られた。


そのようなことをしようものならどうなってしまうのかなんて考えなくても分かり切っていただろう。


だが、その瞬間の彼女にとってそんなことはどうでもよかった。


或いはこの瞬間、自分に対する嫌悪感から一種の自暴自棄、自虐的な感情も心の何処かにあったのかもしれない。


大上段からの唐竹割り。切り返してそのまま剣を振り上げる。


半霊はこれを辛うじて防いだ。


その次の瞬間。


妖夢は不意をついて逆の手で鞘打ちを繰り出した。


右から左へ薙ぎ払うような軌道。


鞘はピシッという乾いた音を立てて半霊の頬に直撃。


すかさずがら空きのその細い腰に蹴りを入れる。


半霊の上体はぐらりと傾き、その手から剣が離れた。


ーー討ち取った。


妖夢はそのまま襟首を掴むと、相手の身体を地面に組み伏せた。


そして峰打ちで終わらせるつもりであったのも忘れて、そのか細い喉元を鋭利な刃で切り裂こうと刀を振り上げる。


殺れ、殺れ、殺れ。


ーー.....む...。



殺れ、殺れ、殺れ、殺れ、殺れ。


ーー...よ.......む.........。


......殺れ。


「妖夢っ!!」


不意に耳に入った悲鳴にも似た声が、彼女を正気へと引き戻した。


......幽々子様の声。


はっ、と顔を上げれば今にも泣きそうな表情の幽々子が。


半霊はふっと消えたかと思うと、元の半透明の霊体へと戻った。


数秒置いて自分が今どんなことをしようとしていたのかに改めて気がつき、妖夢は悪寒を覚えた。


刹那、”パンッ“という乾いた音が響く。


数秒遅れて頬に鋭い痛みが走った。


「幽々子さ、ま......?」


「貴方、自分が一体何をしようとしていたのか分かっているの......?半霊をその剣で斬りつけるのは自分自身を傷つけるようなものでしょう!?」


平手打ち、されたのだろうか。


妖夢はゆっくりと手を持ち上げると、自分の頬に触れた。


再び鋭い痛みが走る。


だが正直言ってそれどころではなかった。


幽々子様に生まれて初めて叩かれた。


あんな泣きそうな顔も初めて見た。


それにこんな風に怒鳴りつけられたのも初めてかもしれない。


「......ごめんなさい。」


ぽろぽろと涙が地面へと落ちていく。


また泣いてる。


今日だけで何回泣いてるんだろ、私。


涙が止まらない。


嗚咽を漏らして泣きたいのを必死に抑えて涙を拭おうとする妖夢を、幽々子は黙ってぎゅっと抱き締めた。


妖夢の華奢な肩がぴくりと震える。


「妖夢ちゃん......貴方最近なんだか変よ?元気無くてため息ばっかり吐いてるし、伸ばしていた髪も突然切っちゃうし、お部屋を覗くといっつも泣いてるし。何か辛いことでもあったの?」


妖夢は一瞬口に出しかけたが、少し躊躇った末にやめた。


本当は全部話を聞いてもらって楽になりたい。


でも私は幽々子様の従者なんだから。


ご主人様に甘えていてはいけない。


自分の弱音や苦しみなんて吐いてはいけない。


「......ごめんなさい、口に出したくないです。」


「そう......いいのよ、別に。ただ自分を無闇に傷つけるようなことだけはやめてね。貴方は私にとっての大切な従者なんだから。」


「お心遣いありがとうございます。」


「......妖夢ちゃん、今日はもう休みなさい。気晴らしに人里にでも遊びに行って来るといいわ。」


「えっ!?まだ幽々子様の晩御飯の準備やお洗濯も終わってませんよ......」


「いいの。私が自分でやっておくから。少し気分転換してらっしゃい。」


「ですが......」


「これは主人である私から妖夢ちゃんへの“お願い”よ。断るなんて選択肢は無いの。ほら、早く遊びに行って来なさい?」


「......了解しました。」


妖夢は楼観剣を鞘に納め、渋々と言った様子で廊下を歩いて行く。


それを見送った幽々子は、縁側に腰掛けた。


「......困ったものねぇ。」


「確かに、あれは中々重症ね。」


刹那、突然空間がにゅっと裂けたかと思うとスキマの中から紫が現れた。


「あら、紫じゃない。......あの落ち込みようはやっぱりアレよね?髪も切っちゃったし。」


「えぇ、間違い無いわ。」


紫の返事に腑に落ちた、と言ったような様子で幽々子は頷いた。


「妖夢ちゃん振られちゃったのね。ふふっ、ふふふ......」


「ゆ、幽々子?」


不気味に笑う幽々子に、柄にも無く紫は冷や汗をかいた。


「うちの子を泣かせるなんてレンは覚悟、出来てるんでしょうねぇ......。ふふっ、楽には死なせないわ。」


「ちょ、ちょっと幽々子、落ち着いて。別に妖夢は想いを伝えたわけでもなければ振られたわけでもないわよ。」


「......どういうこと?」


「えーっとね......この前の宴会の日の夜中にね、神社裏で霊夢がレンの頬の怪我を手当てしてあげてたんだけどどういうわけか妖夢は彼らがキスをしているって勘違いしちゃったみたい。それで彼らがそういう関係だったんだ、って勘違いしちゃったあの子はその恋を邪魔しない為に自分からレンに対して距離を取ろうとしているのよ。」


「紫はその場面を見ていたの?」


「ええ、この目でバッチリと覗き見してたわよ。霊夢が絆創膏を貼る為にレンに顔を近づけた所をたまたま厠に来ていた妖夢が見ていたのよね。」


「なーんだ、振られちゃったわけでは無いのね。良かったわ。でも......その話を妖夢ちゃんにどう話せば良いものかしらね。普通に伝えたら、なんでその場にいなかった幽々子様が知ってるんですかー、なんて怪しまれちゃうし......。」


「あら、別に伝える必要なんてないんじゃない?あの子なら放って置いてもきっとそのうち立ち直るわよ。それに私としてはレンには霊夢とくっついてもらった方が博麗の巫女の後継ぎも確保できて安泰だし......って嘘嘘!じょ、冗談よ?冗談だからそんな怖い顔で睨み付けないで頂戴!?」


幽々子が見たことのない程凍てつくような冷たい目で睨み付けてきたので、紫は思わず後ずさった。


......普段滅多に怒らない幽々子が怒ると怖いわね。


「妖夢ちゃん......。」


「幽々子にしては珍しく取り乱しているじゃないの。私、貴方とは長い付き合いだけど泣いているのを見たのはさっきのが初めてかも。」


「あら、さっきのは嘘泣きよ〜?」


「ふふっ、ちゃんと泣いてたくせに〜。」


「......そりゃ心配して涙くらい出るわよ。うちの可愛い可愛い妖夢ちゃんがあんな風に自分を傷つけようとしたりなんかして......。初めての失恋未遂を経験してよっぽど辛いんでしょうね。あれだけ純粋で無垢な子だからきっと今まで一途に想い続けて来たんでしょうに......。」


「確かに本人は振られたと思っているんだから辛いんでしょうけど、さっきのあの狂ったかのように半霊を斬り伏せようとしていた様子を見る限りではそれだけが原因じゃ無いと思うわよ?」


「あら、やっぱり紫もそう思う?私もなんだかそんな気はしてたのよね。なんだかちょっと何かに取り憑かれていたみたいな感じだったもの。まあ何に取り憑かれているのかはよく分からなかったけど。」


「まあ......暫くあの子のことは少し気をつけてあげなさい。もしも万が一あの子に何かあったとして、その時に幽々子まで精神的に参ったりしたら私も目が当てられないからね。」


「あら、私は精神的に参ったりはしないわよ?私がそんな弱っちい性格でないのは、長年の付き合いで紫もよく分かっているでしょう?」


......さあ?


あの妖夢への溺愛ぶりを見る限りどうだか。


などと紫は思ったが、勿論口には出さない。


「ねぇ紫ー、そんなことよりも妖夢ちゃんどうにかしてあげてよ。」


「私にだってどうしようもないわよ。自然に誤解が解けるのを待つか......それが待てないんだったら無理矢理レンと妖夢を会わせる為に異変でも起こしたら?」


幽々子はそれを聞いて成る程、とでもいうように掌を打った。


「確かに、私が異変を起こせば妖夢ちゃんは私を守る為にレンと対峙せざるを得ないわね。剣での語り合いを通して誤解が解ければいいのだけれど......。レン一人で来させる為にあらかじめ霊夢とか魔理沙とか、異変解決に乗り出しそうな子達には根回ししておかなくちゃ。どんな異変を起こそうかしらねぇ......。」


楽しそうにどんな異変を起こそうかあれこれ思案を巡らせる幽々子の様子に、紫はやれやれとばかりに溜め息を一つ。


幽々子がこんな風に楽しそうに物事を考えているときには、昔から決まって無茶苦茶なことを言い出すのだ。


あんまり無茶なことを言って妖夢を困らせないと良いんだけど......。


「どんなことをやらかすつもりなのか知らないけど......ほどほどにしておきなさいよ?」


「はいはい、分かってるわよ。それよりも紫、せっかく久しぶりに白玉楼(うち)に来たんだから少しお茶でも飲んで行かない?」


紫は少し頬に手を当てて思案するような素振りをした後、こくりと頷いた。


「じゃあ、お言葉に甘えようかしら。」


「やった!ふふふ......良いお茶菓子があるのよ。紫の茶請けのために出したって言えば妖夢ちゃんに怒られずに食べられるわ。」


「......それ、勝手に食べて良いの?」


「良いの良いのー。」


紫は呆れたように笑いつつ、縁側へと上がった。




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