Crazy sexy wild③
12/2 投稿したばかりですが、スティーブのセリフを一部追加しました。
ーー電車で一時間バスで三十分の道のり経て、俺たちはプライベートビーチにたどり着いた。が、
「これって、海だけどビーチじゃなくね?」
麻美のおじさんが所有するプライベートビーチは、ゴツゴツとした岩場だらけの海だった。
ビーチって砂浜とか海水浴場のことだろ。
プライベートビーチ、ものは言いようだな。
「そんなこと気にする必要はないのニャ!海水浴客はボクたちだけの貸切なのニャ!」
確かに。
俺ら以外の人は見当たらない。
まあ、プライベートではあるのかな。
「クリス君、細かいことを気にしてたら将来ドレッドになるよ」
スティーブが何か言っていたが無視した。
「じゃ、早速着替えようかな。麻美ちゃん、更衣室はどこかな?」
「更衣室なんてないニャ!プライベートビーチだから、そこら辺で自由に着替えるのニャ!」
え?
てことは、まさかの、
「そ、そうなんだ。ちょっと恥ずかしいかな。クリス君、あっち向いててくれないかな?」
恵ちゃんが頬を赤らめながら言った。
うおおおおおおおお!
俺の背中越しに女の子二人が水着に着替えるイベントが発生!
プライベートビーチ万歳!
「クリスお兄ちゃん、こっち向いたら殺すのニャ!」
「むかねーよ!お前の裸なんて見たくない!」
「クリス君、ホントにこっち向いちゃダメだからね。委員長としての命令なんだよ」
「わ、わかってるよ恵ちゃん!俺はそんなデリカシーのないことはしないって!」
とは言いつつ、物凄く気になる。
「あれ、麻美ちゃんけっこう......」
「恵先輩には勝てないのニャ!どうしたらそんなに大きくなるのニャ!このこのー!」
「ちょ、ダメ、麻美ちゃん、触らないで!」
拷問だよ!
なんだよこの会話!
狙ってるんじゃないのか!
そう言えば、スティーブの姿が見えな......
「最近の女の子の成長は早いと聞いていたが。うむ、人類は進化しているね」
いつのまにか、俺の隣で仁王立ちしてガン見するスティーブがそこにいた。
「きゃあーーーー!」
「変態なのニャー!」
水中メガネややスイカが飛んできた。
俺に向かって。
どこにスイカなんて隠してたんだ!
と思うのも一瞬で、スイカは俺の頭にクリーンヒットした。
「イテテテテ、俺は見てないって!このおっさんが!」
スティーブがいない!
あいつどこ行きやがった!
近くを見回す。
スティーブは、海の上で浮き輪に乗って揺れていた。
「もう、見損なったよクリス君」
「変態バカ兄貴に興味はないのニャ!」
罵声が飛び交う。
せっかくの海だと言うのに、俺は昼まで弁当を見守る役目を押し付けられてしまった。
違うよ。俺じゃないんだって。
あのおっさん、許さん!
「それじゃよろしくなのニャー!」
「ごめんねクリス君。でも覗きは悪いことなんだよ」
二人は俺を残して海に向かっていった。
「なんで俺が......」
ブツブツと愚痴をこぼした。
しかしいい天気だ。
絶好の海日和とはこのことだろう。
麻美が持ってきたパラソルの陰で、体育座りしながら女子二人を眺めた。
浅瀬で水を掛け合いながらキャッキャしている。
素晴らしいな。
いや、これは芸術だ。
キラキラ光る海面が、恵ちゃんの水色のビキニを際立たせている。
人魚だろうか。いや足はついてる。
細くスラッとした足が。
それにしても大きい。
麻美が触りたくなったのもしょうがないことだと思える。
モデルのような長身にあの魅惑のボディだ。
プライベートビーチじゃなかったら、ひっきりなしにナンパされていただろう。
麻美、そう麻美。
彼女もまた、美少女の内に入るのだろう。
恵ちゃんがお姉さん的な存在だとしたら、麻美は妹というところか。
自慢してきただけあって、可愛い水着だった。
ボーイッシュなイメージだったが、ピンクのチェック模様でフリフリしている。
欲を言えば、スカートなのが惜しいと言うかなんと言うか。
可愛いけど。
恵ちゃんにはかなわないが、まだまだ発展途上と言う感じの胸。
スラッとした手足やお腹は、スポーツが得意そうな麻美のイメージとマッチしている。
ごちそうさまです。
「まだ昼ごはんも食べてないのに、満腹そうだね」
いかん、ヨダレを垂らしながらボケーっと見入ってしまった。
声のする方を向くと、スティーブが横に座っていた。
「いつのまにいなくなったんだよ!お前のせいで、大変だったんだぞ!」
「ごめんごめん!悪かったねクリス君。でもあれは、男なら見ておくべきじゃないかな。逆に、見ないと失礼だと思ったよ」
「見るだけ見て逃げたお前が言うな!」
「怒ってるねー。僕はこれでも悪いと思ってるんだよ。そうだ!仲直りの印にいいものをあげようか」
「いいもの?」
スティーブは、ダボダボの水着(甚平のズボンじゃないのかこれ!)の中から、ハート型のゼリーを取り出した。
一口で食べれるタイプのアレだ。
てか、なんてところから食べ物をだすんだこのおっさんは!
「これはね、ただのゼリーじゃないんだ」
「ただのゼリーじゃない?まあお前が出した時点で、普通じゃないことは理解できるよ」
するとスティーブは、チッチッと人差し指を振りながら舌を鳴らした。
「媚薬って知ってるかい?」
「びやく?ってほれ薬のことか?」
スティーブはニヤリと笑った。
「そうさ。このゼリーはCrazy sexy wildと言って、食べた人をめちゃくちゃエッチな気分にさせるんだ。この薬のいいところは、合法ってところなのさ」
エッチな気分!それに合法だと?
「おい!それはすごいな!」
「そうだろう。最近出始めたお菓子さ。これであの二人のどちらかと思う存分楽しむといいよ」
「え?」
恵ちゃんか麻美とその、できるってことか!
しかし......俺はヘタレチェリーボーイだ。うまくいくのだろうか!ーーじゃなくて、たとえできたとしてもそれはお菓子の効果であって、本当に好きになってくれた訳ではないと言うか......
でも、気になる!
「なんか悩んでるみたいだけど、どうするんだい?」
「い、いりなす!」
「どっちかわかんないよ!まあ、とりあえず渡しとくからさ。好きに使いなよ」
そう言ってスティーブは、無理矢理ゼリーを俺に渡し、また海に飛び込んで行った。
ひたすら煩悩と戦い続ける十六歳の少年(俺)は、残されたゼリーを手に取り、穴があくほど眺め続けたーーーー




