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成り行き超兵器の無駄に贅沢な憂鬱  作者: ポンポコ狸
第一章 知る事から始めよう!
5/10

第四話 言葉って……

 気が付くと、お気に入りが500件突破していました。

 私の作品を気に掛けて下さる皆様方、有難う御座います。

 なんとか完結目指し頑張ります。

 

 

 

 ミヤビが幾つかの木像作りを終える頃には、朝日が顔を出し始めた。

 薄っすらと色付き始める空にはスズメ?の様な鳥達も囀りながら飛び立ち、街道にもポツリポツリと人影が見え始める。

 ミヤビはそんな街道道を進みながら、根本的な問題に行き当たった。

 

 「何て言ってるのか分かんないな……」


 リクルートスーツが珍しいのか、街道を歩く人々がミヤビの姿を見ながらヒソヒソ話をしている。

 無駄に高性能なミヤビの耳には周囲のヒソヒソ話を事細かに聞こえ、逐次収集し記録していくのだがその言葉の内容が理解出来ない。

 (如何しよう? 言葉が話せないんじゃ、情報収集のし様が無いんだけど……)

 難民キャンプで情報収集と言う目論見が行き成り崩壊しかける。

 如何対処し様と悩みながら足を進めていると、何時の間にか途中の都に到着していた。

 日が昇り幾時か経っているので、都のメインストリートらしき幅広い道の両脇に露天商の様な店が並び、道には人が溢れかえり活気溢れた様子が一目で見て取れる。

 (意外に活気があるな……内乱中みたいだから、引き篭っている人が多いかと思っていたんだけどな)

 街の意外な様子にミヤビは驚くのだが、やはり言葉が分からない喧騒なので只の雑音にしか聞えない。

 初めはリクルートスーツ姿を興味深そうに見て来る者も居たのが、表情も変えず只々道を淡々と歩いて行くミヤビに興味を失ったのか、次第に注目されなくなって来た。


 「……ん? 何だコレ?」


 メインストリートの中頃を歩いている時、ミヤビの脳裏に一枚のメッセージが表示された。

 【 言語解析終了 使用言語を切り替えますか? Y/N 】

 (……何で、こんな機能があるん? 嫌、まぁ……都合が良いから別に良いんだけど、ね?) 

 ミヤビは何処と無く疲れた雰囲気を表に出す事無く、メッセージのYESを選択する要領で念じる。

 すると、先程まで意味不明の雑音にしか聞えなかった人々の言葉が、次第に意味を持った言葉として聞き取れる様になり始めた。


  「……」


 ミヤビは何度目かになる、無駄に高性能な体に呆れにも似た感心をする。

 同時に、恒星間殲滅戦闘ユニットに何故言語解析機能があるんだ?と言う疑問も抱いた。

 しかしミヤビは頭を軽く振って雑念を振り払い、木像を買取ってくれそうな店を探す事にして壁店を眺める。 


 「……どの店が木像なんかの買取をやってるんだ? 露天の方は基本的に販売専門みたいだし……」

  

 ショ-ウインドウの様なコーナが無い店作りの為、今一何を取り扱っているのかが分からないのだ。 

 ミヤビは暫くメインストリートを歩いて店を見ても良く分からない為、人が良さそうな露天商の初老の男性店員に買取を行っている店について聞いた。

 

 「すみません。 調度品なんかの買取を行っているお店って、何処にありますか?」

 「……うん? 調度品てっと、ドンナ品物なんだ?」

 「木彫りの置物です」

 「木彫りか……それならアソコに見える、青い花のレリーフが入口の扉に飾ってある店だな」

 「アソコのお店ですか……教えて頂き有難う御座います」

 「いや何、構わんさ。 そうそう、アソコの店主は中々の目利きって噂だ。 下手な物だと、二束三文で買い叩かれるって聞いてるからな」

 「そうなんですか? まぁ、そこそこの自信はあるので頑張ってきますよ」

 「ま、頑張んな」


 見慣れない服装故に少し訝しそうな視線を向けられたが、ミヤビは取り敢えず目的の店の場所を聞けた。

 露天商に礼を告げ、ミヤビは人波を掻き分けて進み買取をやっていると聞いたお店に辿り着く。 

 (家具屋アクティス……木造も調度品の一種だから良いのかな? ……うん?)

 ミヤビはフト店の扉に掛けられている青い花のレリーフを良く見ると、意外にも細かな細工が施されているのが見て取れた。

  (店の扉にこのレベルの物が置かれていると言う事は、目利きって噂は本当みたいだな)

 一見簡素なレリーフに見えるが、見る物が見ればソノ価値を読み取れる品だ。

 ミヤビは扉のレリーフから視線を離し、入口の扉を開ける。

 店内に入ると、色々な種類の家具や調度品が品良くディスプレイされていた。


 「いらっしゃいませ。 本日は、どの様な品をお求めでしょうか?」


 店の奥のカウンターから、メガネを掛けた店主らしき壮年の男が落ち着いた声で話掛けてきた。


 「あの、表の露天商の方に聞いたのですが、このお店で調度品の買取を行っていると伺ったのですが間違っていないでしょうか?」

 「おや、買取希望の方でしたか……確かにウチでも買取を行っておりますよ」

 「ああ、良かった。 お店を間違えては居なかったみたいですね」

 

 お店を間違うと言う事が無かった事に、ミヤビは安堵の笑みを浮かべる。

 しかしその笑も、店主の一言で消えた。


 「ですが、ウチで買取を行う場合には一つ条件があるんです」

 「条件……ですか?」

 「はい。 持ち込みの買取を行う為の、一種のボーダーラインと言う所ですね。 余り持込ばかりでも有っても、コチラとしましても困りますから」

 「……はぁ」


 目付きが鋭くなった店主の言に、困惑しつつもミヤビは一応納得の返事を返す。


 「それで買取の条件なのですが至ってシンプル。 このお店で一番価値がある物を選んで下さい」

 「……目利き、と言う事ですか?」

 「ええ。 本当に高価な物は別に保管していますので、貴方がこの店に来店・・してから見た中で一番高価な品を選んで下さい。 正解頂ければ、持ち込みの買取を行います。 目利きが効く人物の持ち込みと言う事は、持ち込み品にも最低限の信用があると言う事ですから」

  「成程。 分りました、やってみます」


 ミヤビは店主の説明に納得し、店内にディスプレイされている品々を注意しながら見て回る。

 店主が見守る中、ミヤビは商品を見て回る中でアル疑問が浮かんできた。

 ミヤビが見る限りにおいて、ディスプレイされている品々にはに少々の上下はあるが、コレと言った価値の差は無い様に見て取れたからだ。 

 そんなミヤビの姿を見、店主は何か含んだ様な笑みを浮かべながらミヤビに話し掛ける。


 「お分かりに成りましたか?」

 「……あの、一つ質問して良いでしょうか?」

 「何ですか? 答えに関する事には答えられませんよ?」

 「一番価値がある物は、他の品々と明確な価値の差はありますか?」

 「有ります」

 「……そうですか」


 ミヤビは店主の答えを聞き悩み始める。 

 そして、店主が言い含めたアル事に気が付く。

 (そう言えば、来店してから見た物と言っていた。 と言う事は……!)


 「……入口の扉に掛けられていた、青い花のレリーフでは無いですか?」

 「お見事、正解です」


 店主はミヤビの答えに、満面の笑みを浮かべて正解だと告げる。

 そしてミヤビはと言うと、安堵の息を吐きていた。


 「この条件を満たす事が出来た方は久しぶりです。 大体の方は店内に展示してある商品の中から選ばれるので、良くお気づきに成られましたね?」

 「ここにある品々に明確な差がある様に思えなかったのと、貴方が言い含めた条件に気が付けたからですよ」

 「いえ、全く素晴らしい目利きと洞察力です」


 店主は条件をクリアしたミヤビを手放しに賞賛する。

 そして、ミヤビも満更ではない様子で賞賛を受け入れ気を良くした。 

 それを見た店主は透かさず商談の話を進める。


 「では、持ち込みの品を見せて頂けますか?」


 店主に求められ、ミヤビは浮つき気味の様子で懐から小さな木箱を一つ取り出しカウンターに置いた。 







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