【超短編】兄妹と熊
初めまして
超短編な小説を書いてみました。
小説力つけたいのでどんどんアドバイス下さい!!
「ハイキングだー」
子供達の元気な声が聞こえる。
急いでワゴンに乗り込み家を飛び出した。
最初こそビルや駅などの風景が見えたが、次第に建物の背が低くなりそれに反比例するように緑が広がっていった。
「着いたぞー」
細長い青年は声をかける。
それを聞くや否や、周りの景色に飽きて眠っていた幼い子供達は目覚める。
「こういう場所ってまだ残ってたんだ。」
赤いチェックのウェアを羽織った女性が、青年に話しかけた。
青年の手にはマットが握られている。
「自分が小学生の時にはこういう場所がたくさんあったんだ。」
やや寂しげな表情だ。
その後広げ終わったマットの上でサンドイッチを食べる。
食事の時間が終わると子供達はカバンからボールを取り出し遊び始めた。
「ほーらよっ!」
男の子が投げた野球ボールは妹の頭上を越え、近くの茂みに。
「あちゃー。」
と困る兄
「どうするの?」
と右往左往する妹
「俺、取って来るよ」
兄は森の方角へ走っていった。
妹は戻るか兄を追うか迷っていたが悩んだあげく後者を取った。
どんどん森の奥に行く兄必死に追いつこうとする妹、
木漏れ日が指すので暗くはないが木の根が盛り上がっていて歩きにくい。
そんな道を通ってゆくと揺れる草むらに妹は気づいた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん?」
どうやら先へ行ってしまったようだ。
(うぅ、恐いよ。)
急に不安が増して来た。
揺れは次第に大きくなる。「逃げろ」と頭が発しているのに足が動かない。
子熊だった。
少女はもっと恐ろしいモノを想像していたようだ。
必死に丸まっていた。
しばらくして何も起こらないことに気づき、ゆっくりと目を開く。
後ろ脚を引きずっていた。
「大丈夫?」
不思議そうに近づく。
「怪我をしているのね?」
逃げようとする子熊をに自分のハンカチで脚に括り付ける。
(お母さんに会えるといいね)
心の中で呟いた後兄を探しに向かった。
数時間後、少女は同じ場所をぐるぐる歩く道を迷ったようだ。
「おにぃぢゃぁん」
涙目になりながも探す。
洗濯したてのスカートは泥まみれだ。
「くくく熊? 」
(お兄ちゃん?)
恐る恐る茂みを掻き分けると大人よりも背の高い熊がいた。
真正面にはか細い木の枝を熊につきつける兄が。
足は小刻みに震えていた。
「おにいちゃん!」
妹は飛び出す。
「あぶない」
兄が走り出したのと、熊が腕を振り下ろすのは同時だった。
兄の後ろに立っていた木には、3本の傷が刻まれていた。
怯える二人、再び腕をあげる熊とその間に
子熊が割って入った。
「さっきの!」
妹は思わず声をあげる。
そう子熊の後ろ足にはハンカチが巻き付けられていた。
子熊は熊の方へ向かって行く。
どうやら親子らしい。
母熊は子熊を探していたようだ。
それに安堵したのか兄妹は座りこんだ。
親子熊はペコリとお辞儀をしたあと子熊と共に二人を乗せる。
その後心配した両親に助けられ家へ帰ることにした。
「さ、帰ろう」
シートベルトを締める青年。
「ねぇ、後ろ見てよ。」
後部座席には眠ってる子供たちが。
「きっと幸せな夢を見てるんでしょうね。」
「ああ。起こさないようにしよう。」
青年と女性は微笑ましそうな眼差しを向けた。
そして乗せた車は家へと帰る。