7話 アイドルの準備
「はああああああ!」
レオンが許可証を見て絶叫した。その顔には驚きと困惑が浮かんでいた。
「何をしたんだ! これは全国の人たちが集まる大会だぞ!」
「ええ!?」
「国王様も来るし、なんなら聖女様も来るんだぞ!」
「本当に、何もしてないんだな?」
「特に、何も……」
レオンは深いため息をついて、少しばかりの静けさの後に、何かを決意したように言った。
「はぁ、これが渡されたら、絶対に出るんだ。」
「出なかったら?」主人公が不安そうに尋ねる。
「芽を潰される」とレオンは鋭く答えた。
「ひぇー……」主人公は驚きの声を漏らす。
「猛特訓だぞ、覚悟しろ。」
主人公はその言葉を胸に刻み、重い気持ちで練習を始める。レオンの厳しい指導が続き、まるでそれが当たり前のように、辛くも励ましの言葉も少なかった。
「今のままだったら笑い物だろうな。」レオンの冷徹な声が響く。
「なんで! 皆んなも良いって言ってくれるし!」主人公は反発するように言ったが、心の中でそれが通じないことを分かっていた。
「それは、この中でだ。」レオンの目は鋭く、冷静に続ける。「やってない人が、良いと言うかはわからないし、馬鹿にされる要素が多い。」
主人公は言葉を飲み込む。確かに、自分が地味令嬢で浮かれているだけにしか見えないだろう。自信を持つことが、逆に不安を増すような気がした。
ーーー
「なんでよ! 私、可愛いし妖精だって思われても仕方ないのに!」
その思いが湧き上がる。彼女は心の中で自分を信じる決意を新たにし、何かを思いついた。
「あっ、いいこと考えた! 冒険者ギルドに行こう!」
レオンが驚きの表情を浮かべて振り向く。
「おいおい、嬢ちゃんが来る場所じゃないぞ。」ギルドの門を指さしながら、レオンはその場所が普通の人には無理な領域であることを強調した。
「はい!」主人公は元気よく答え、ギルドに足を踏み入れる。
ギルドの冒険者たちは不安そうに彼女を見ていた。主人公は何の躊躇もなく、お金を渡して言った。
「メタリックスライムを倒してきて!」
その言葉に、ギルドの冒険者は驚きの表情を浮かべた。「嬢ちゃん、価格が知らない様だ。メタリックスライムなんて、そんな高額な依頼はないよ。」
主人公は少しも動じず、にっこりと笑顔を見せて言う。「じゃあ、よろしくね!」
ギルドの冒険者は少し考え込みながらも、「お前、本当に大丈夫なのか?」と、やはり心配そうに言ったが、彼女の瞳に強い決意を感じ取り、どこか引き込まれていた。
「お金はしっかり渡したし、やるよ。」彼はため息をつきながら、結局引き受けることになった。
「ありがとう!」主人公は力強く笑顔で答え、すぐに出発の準備を始めた。
その時、ギルドの冒険者は一度彼女を見つめ、そしてぼそっと言った。「無茶をしないでくれよ。」