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Interlude
肩に掛かる希有な紫の髪を無造作にはらって、美女は言った。
「貴女には、私の願いを叶える義務があるわ」
命令し慣れた高飛車な口調に、黒髪の少女はフンッと鼻で笑って言った。
「何それ。頭おかしいんじゃないの」
「何よ! 本当に腹の立つ子供ね!」
「それはアタシの台詞。頭のおかしい女が毎晩夢に出て、訳の分かんないこと言って、マジでムカつくんだけど」
「訳の分かんないことですって! キ――! ムカつく! って、アンタの口調が移っちゃったじゃないのよ!」
「そんなのアンタが勝手にやってんじゃん。バッカじゃないの」
「バカって言った? この私に、バカって言ったわね!」
「へ~ん、バカバカバカバカバカ」
「何よ! バカって言う方がバカなんだからねっ!」
そう言って地団駄を踏む美女に、少女はウンザリとした口調で言った。
「子供かよ」
少女が天を仰ぐと、まん丸い月が世界を蒼く染めていた。