鏡屋
鏡屋。いまの世界とは違う世界とを繋ぐお店。
これは大切な誰かを失った者たちへの切ない贈り物の物語。
「それは、本当なのか。」
憔悴しきった男が女に問う。
「そうよ。これは彼女の今が映ってるの。」
黒髪の女はそう答える。
「私と・・・取引する?」
これは大切な誰かを失った者たちへの切ない贈り物の物語。
「ねえ、仕事が落ち着いたら友達が言ってた喫茶店にいきたいな。」
ふわっとした髪の彼女が言う。
彼女はあみ。
僕の大切な人だ。まだプロポーズも出来てないが、将来は結婚したいくらい大切な人だ。
彼女の笑顔はとにかく可愛い。花が舞うようにきらきらと輝いていて、僕はいつも眩しくみていた。
その日もいつものように他愛もない話をして彼女の自宅まで帰っていた。
「ここまで送ってくれてありがとう。またね!大好きだよー!」
毎日大好きだと伝えてくれる彼女。
笑顔で手を振る彼女に
「風邪ひかないように温かくして休みなよ。」
・・・好きなんてなかなか僕は恥ずかしくて言えない。
それでもこの想いは彼女に伝わっていると思っていた。
僕はIT関係の仕事をしている。
今は忙しく彼女ともなかなか会えずにいた。
「はぁ・・・。また残業か・・・。」
時計を確認し、まだ終わらせなければいけない資料が山のようにあるのを見てため息をつく。
コーヒーでも飲もうかと席を立とうとすると
「先輩!コーヒーブラックでしたよね?どうぞ。」
と、コーヒーが置かれた。彼女は仕事の後輩りか。
大学も同じようだったが覚えていない。小柄で周りをよく見て気が利く子と会社で話題であり、見た目も可愛いことから会社では人気があるようだった。まあ、僕は興味が無いからわからないが。
「あ、どうもありがとう」
「いいえー。」
りかは残業になると時折コーヒーを届けてくれる。
そこまで親しい訳でもないが断るのも失礼かと思い何も言わずに頂いている。
「先輩はこんな時間まで残って大丈夫なんですかー?
彼女さん寂しがりません?」
りかが聞いてくる。
「最近会えてなかったからな。連絡入れようと思っていたところだよ。」
「あー、そうなんですね。先輩に大切にされてる彼女さん羨ましいな!」
「まあ、大切な人だよ…。僕にはもったいないくらいの人で。」
「彼女さんのことほんとに好きなんですね!」
「もちろん。好きなんて言葉じゃ足りないくらい大切な人なんだ。」
「わー惚気けちゃってー。いいですねー!私にもいい人出来ないかなー。邪魔してすいません!私お先失礼しますね」
ばたばたと帰っていくりか。
その背中に
「お疲れ様ー。コーヒーありがとう。」
声をかけた。
笑顔でお辞儀をし帰宅するりか。
「やっぱり先輩が欲しいよねー。」
笑顔が消え携帯を触りながら話す女。
まあ、写真も送ったし、どう思うかなー。
彼女さん。ふふ。
女は怪しく笑っていた。
今日は久しぶりにあみとのデートだ。アパートの近くにある公園のベンチに座ってあみをまつ。
「おまたせー!少し遅くなっちゃった。ごめんね?」
慌てて走ってくるあみ。髪が乱れているのをそっと撫でて直す。
「全然大丈夫。さあ、いこうか」
「うん!」
いつもならあみが腕にくっついてくるのに今日は1歩離れて歩いている。
笑顔ではあるが何故か違和感があった。
でも僕は疲れているだけだろうと思った。
「疲れてる?映画ならいつでも見れるし家で休もうか?」
「ううん!大丈夫!ごめんごめん、ぼーっとしてた!」
あみが頭をぶんぶんさせて答える。
大丈夫だというなら大丈夫だろう。
そうしてその日の映画デートが終わった。
映画の間あみが僕の顔を見たり考え事をしているなんて気づきもしなかった。
「今日もありがとう!大好きだよ!またね!」
あみは夜は用事があるからと早めに帰宅することになった。
この笑顔が
このコトバが
あみとの最後の会話だった。
プルプルプル・・・
電話がなった。
あみからの電話だ。
どうしたんだろう。
「もしもし、あみ、どうしたの?」
いつもなら仕事中に電話をかけてこないあみが電話だなんて珍しいと思い電話に出る。
そして
「もしもし。身内の方でしょうか。
警察のものですが。」
え、警察・・・?
「あみがどうかしたんでしょうか??何かありましたか??」
僕の心臓は周りに聞こえるんじゃないかと思うくらいひどくドクドク音をたてている。
「今朝あみさんが亡くなっているのが自宅アパートでみつかりました。」
・・・え
いま
警察はなんて言ったんだ。
頭がまわらない。
「え、冗談ですよね?」
声が震える。
なんだ。嘘だよな・・・。
警察が何かを言ってくるがそれに
ただただ
「はい、はい。分かりました」
返事を返す。
しかし頭は現実を処理しきれていなかった。
急いで警察に指定されたところへ行く。
嘘だ。間違いかもしれない。
あみではなく誰か知らない人かも・・・
そうだ!昨日はあみも元気だったじゃないか!
そう思いながら
白い布を被せられたおんなのまえにいく。
布をとり顔を見る。
顔が手が、身体が青白いが
僕の大好きなぼくのよく知るその人が
静かに目を閉じていた。
心臓がどくどくはねる。
うそだ、
嘘だ嘘だ嘘だ!!
「・・・あみ?」
「あみ!おい、ドッキリか何かかな・・・」
「冗談きついよ・・・」
「ねえ!あみ!起きて!目を開けてほしい・・・」
それでも、あみは動かない。
手は冷たい
・・・胸が苦しい、なんだこれは・・・
「頼むから・・・あみ!あみ!返事してくれよ!!
・・・
警察の話によるとあみは自殺の可能性があるとの事だった。
手首を切ってお風呂場でなくなっていたそうだ。
すごい量のアルコールも検出された。
あみはお酒をあまり飲まないのに・・・
あみが亡くなっても時間は進んでいく。
僕が現実を受け入れられないでいる中、淡々と葬儀のことや荷物のことをあみの両親がしてくれていた。
あみの両親に会うのは2度目だ。
お付き合いを始めさせていただく時にあいさつにうかがった。
あれから何年か経ったが両親は僕を覚えてくれていたようだ。
「きみは・・・・・・娘がなにか悩んでいたかどうか
わからなかったのか。
どうしてなにも気づいてあげられなかったんだ。」
あみの父親がこぶしを握りしめ、震えながら声をかけてきた。あみの母親は
「やめなさい、せめてはだめよ。私達も気づくことが出来なかったんだから・・・」
そういいながら目に涙をためている。
僕は
答えることが出来なかった・・・
その通りだったから・・・
葬儀の日。
結婚もしていなかった僕は葬儀に出ることは叶わなかった。でも前の日にあみに会うことをあみの両親が許してくれた。
寝ているだけのように見える。
「あみ」
名前を呼んでも返事はない。
その現実が体が切り刻まれそうなくらい苦しく言葉が出てこなかった。
なぜ、なぜあみは死んだんだ
大好きだと言ってくれたあみ
それに恥ずかしいからと返すことすら出来なかった日々
後悔してももう遅いのだ。
「ねえ、ちょっといいかしら」
あみの母親が僕を呼ぶ。
「これ、あみが使っていた携帯なの。でもロックがかかっていて私たちは見ることが出来なかった...。でもあなたなら見ることができるかしら」
あみの母親に渡されたのはあみが使っていた携帯電話だった。
それを受け取る。
見ても良いのだろうか...
なかなか開けずにいる。
「あみもあなたになら見られても良いと思うの。私は席を外すから. . .」
そう言って部屋から出ていった。
もう一度手元を見る。
「あみの携帯...」
ゆっくり触れた。すると待受画面はあみと僕との写真になっていた。
「. . .あみ。っ。」
そしてロックの暗証番号。
僕との記念日だった。
画面が開く。
写真ホルダーを見ると僕の横顔やデートでの写真がたくさん入っていた。思い出がぶわっと蘇ってきて辛くなった。
このまま写真を見るのが辛くなったため次は連絡用のアプリを開く。
すると僕とのやりとりの他にりかという人と連絡をしていたようだ。
勝手に見るのも申し訳ないと思いながらその人との連絡内容を見る
「...は?」
僕は手の震えが止まらなくなった。
そこには僕の写真が何枚も送られており、
今日も会社で一緒でした。あなたといるより私の方が落ち着くって。
今日も大好きだよって言われた。あなたと違って愛されているみたい。ごめんね
浮気相手のくせにいつまでも彼にくっつかないでくれない?目障りなんだけど
早く離れて消えてくれないかな。
話があるから今日の夜会いましょう
場所は○○前の公園で
「なんだこれ. . .」
りかって、あいつか?
僕がコーヒーを飲んでる写真があった。
あいつしかいない
僕がコーヒーを飲んだから?
なんでこんなデタラメを. . .
他にも僕の写真が何枚も送られていた。
いつのまにこんな写真撮られていたんだ。
そしてここ最近、音声が送られていたのだ。
その音声は
「好きなんて言葉じゃ足りないくらい大切な人なんだ。」
そしてこう書かれていた。
私の事を大切な人だって。こんなにちゃんと伝えてくれてるの。あんたなんか言われたことないんじゃない?かわいそー
「. . .は」
これは、あの時の会話. . .。録音されていたのか。それに、これはりかに対して言った言葉じゃない。僕が大切だって言ったのはあみだったのに. . .。
しかも最後に僕とあった後に会ってるじゃないか。
「どういうことだ. . .」
確かめる必要がある。なんでりかの連絡先を知っているのか。なんでこんなメールを送っていたのか…。
まさかあみは僕が浮気してると思ったのだろうか. . .
僕が大好きだとさ言っていなかったから?
. . .疑われてもしょうがなかったのか. . .。
僕は会社へ行き
りかに話があると伝え、りかと話した。
「話ってなんですか?食事のお誘いですか?誘って頂けるなんて嬉しいです!」
その言葉に苛立ちを覚えながらあみについて聞いた。
「見たんだ。どうしてあなたが僕の彼女の連絡先を知っていたんだ。」
すると笑顔がすっと消え、りかはだるそうに答えた。
「えー。見ちゃったんですか?どうしてって、調べたからですよ。」
「なんでそんなこと. . .!」
「なんでって。もうバレたから言いますけど私先輩のことが好きですし、彼女が邪魔だなって!」
「僕はお前なんか好きじゃない!!なのになんであんなこと書いたんだ!?おかしいんじゃないのか!!あの日!あみと会って何してたんだよ!」
怒りで体が熱い。
殴りつけたい気持ちでいっぱいだった。
「えー。何って。ただ彼女に言っただけですよ。あなたのことつまらないやつなんだって。浮気相手なんだから早く消えてって。そしたら会社には言わないであげるよってね」
「彼女さん?最後まであなたのこと信じて嘘だ!って言ってきてうるさくてね。私の友達を呼んでたの。」
「たかがキスされた写真撮られたくらいで泣き出してさー。これ見せたらどうなるかなーって言ったら逃げちゃって。それ以上のことはしてないですよ?」
「お前. . .っ」
「先輩、彼女さんと別れて私と付き合いましょうよ。私の方が可愛いですし、先輩のこと大切にしますよ?」
そういって抱きついてこようとする。
「何言ってるんだよ。お前と付き合うわけないだろ!あみは、お前のせいで死んだんだよ!!」
「. . .え?死んだ?」
「. . .はははは!死んだの?はははは!嬉しい!これで私たち付き合えますよね?」
「. . .っ。お前。」
頭がおかしい。
僕は逃げるように家に帰った。
なんで、なんでなんだよ. . .。
僕がちゃんと伝えてなかったからか
僕が言葉にできていれば. . .
今更遅いのに. . .
そしてしばらく休みをもらって酒に溺れる日々を過ごした。
なんで?あいつのせいだ。
僕が悪かったんだ. . .僕が追い詰めていたんだ. . .
あいつが音声なんて送ったから. . .
僕が. . .
. . .人のせいにして全て楽になりたい。でも. . .自分もあいつと同じくあみを傷つけたことに変わりない
あみのいない世界なんて. . .
死んでしまいたい. . .。
あみとよく行っていたバー。
そこに行けばあみに会えるんじゃないかと店に入る。
もちろんあみはいない
「. . .いるわけ、ないよな. . .」
とりあえずあみの好んでいた酒を飲む。
甘くてジュースのよう。
「あみ. . .。. . .っ。」
どれだけ飲んだだろう。
頭が働かなくなってきた。
そんな時女の人から声をかけられる。
「お兄さん、私ならあなたが会いたい人の今を見せてあげることができるわ。」
黒髪の女はそう答える。
「私と・・・取引する?」
僕はただただ夢でもいいからあみに会えるなら、あみを見ることができるならいいと、その黒髪の女についていくことにした。
路地裏を通り奥へ進んでいくと古びたビルがあった。その地下に下りる階段をおりていくと看板があった。
『鏡屋』
扉を開けるとキーっとドアが軋む音がした。中は鏡が至る所に置いてある。
「ここに座っててちょうだい。」
黒髪の女は言う
それに従いソファに腰をかけた。
「会いたい人にあえるって本当ですか」
女は答える
「会えるんじゃない。見ることができると伝えたのよ。あなたの声は届かないわ。それでもあなたが会いたい人の今を見ることはできる。どうする?私と. . .取引する?」
「取引とは. . .いくら払えばいいんですか」
「私はお金はいらないのよ。まあ、会えた時に対価はもらうわ。どうする?」
「. . .おねがいします。あみを見ることができるなら」
すると黒髪の女は1つの鏡を持ってきた。
「この鏡の向こうは違う世界に繋がっているの。こことは時間軸も違う。あなたの大切な人、あみさんはこの世界に来て10年の時が流れているわ。」
. . .言ってることはわからないが、あみが見れるならと渡された鏡をのぞいた。
すると鏡に自分の顔がうつっていたのにだんだんとゆらゆら揺れはじめ、町のようなものが見えてきた。
「. . .なんだ、これ。」
「そこはここの地球とは違う世界。あなたの大切な人は異世界で生きているのよ。」
「. . .異世界で、生きている?」
「ほら、だんだん見えてきたでしょう。あなたの大切な人. . .」
「. . .っ!あみ!!」
そこにはあの頃のあみが映っていた。
「あみ!っ!あみ!僕だよ!!あみ!」
「残念ながらこちらの声はあっちの世界には届かないわ。」
あみは笑っていた。
知らない男の隣で. . .。
「. . .あみ?」
すると鏡がまたぼやぼや歪んだ。
黒髪の女が話し出す。
「これはあみさんがこの世界に来たばかりの頃よ。」
「戸惑いながらも違う世界でいろんな人たちに支えられながら生きてきたわ。」
「もちろん。あんたのことを大切に思っていて忘れられなかったから、いくら好意を寄せられても断っていたのよ。」
「でもあれから10年が経って。自分の幸せを考えていいんだよ。いつまでも過去にとらわれないで欲しい。笑顔でいて欲しい。あなたが大切なんだ。僕と一緒に人生を歩んで欲しいって言われて. . .彼と共に歩むことに決めたのよ。あぁ、なんて素敵のかしら。」
黒髪の女はあみがどう暮らしていたか物語を語るように話した。
. . .僕は君を愛してるんだって、大切な存在だって伝えることが出来ていたなら. . .
また違う未来があったのだろうか
. . .あみ. . .。
そばにいるのが自分ではない知らない人で。僕に見せていた笑顔も僕の隣にいたあみが、もう僕の隣にいないことも. . .全てが現実で全てがもう手遅れだった。
幸せそうに笑うあみの姿が映し出され、胸が苦しく涙が溢れた。
「. . .っ。. . .っく。. . .うわああああああ!!!」
あみ. . .ごめんな. . .
僕がもっと君に気持ちを伝えられていたら!もっと早く君の異変に気づけていたら. . .ごめん. . .ごめん. . .
絶え間なく流れる涙。もう涙は枯れたと思っていたが枯れていなかったようだ。
黒髪の女はその涙を小瓶にいれた。
「この涙が対価だ。もらうよ。」
すると小瓶が光りだし、鏡の中に吸い込まれた。
鏡がまた歪む。
あみは白のドレスを着てこちらを見ていた。
その姿がとても綺麗で笑顔がたまらなく愛しくて、少しでも近づきたくて、僕は手を伸ばした。
触れたのは鏡の冷たい感触だけ. . .
「ひろくん. . .?」
「. . .え?」
鏡の向こうのあみが僕のことを見ている
「ひろくん、ひろくんなの?」
「. . .っ。あみっ。」
「僕. . .ごめん。あみに苦しい思いさせてたの気づけなくて. . .っ。僕、ほんとに. . .あみのことわかってなかったんだ。あみなら何も言わなくても僕のことわかってくれてるって!っ. . .。だから大切だって、愛してるんだって. . .!伝えていなかった. . .っ!!」
「. . .わたしが悪いの. . .ごめんね。」
あみの目から涙があふれる。
「. . .わたし、信じていたのに. . .っ。疑ってしまったの. . .わたしの大好きだって言葉に同じ言葉が返ってきたことがなかったから. . .。知らない人にキスされて、汚れた私なんて汚くて. . .!!こんな私じゃ捨てられるって思ってっ!. . .っ。
弱くてごめんね. . .逃げちゃってごめんね. . .っ。わたし、ほんとに. . .ごめんね. . .っ」
「汚くなんかないよ!あみはいつでも綺麗だっ!!」
泣かないでくれ. . .せっかく綺麗なんだから. . .
「. . .あみ。僕はあみが世界で1番誰よりも大切で愛していたよ. . .っ。今も愛してる. . .。でも僕じゃあみのことを笑顔にするどころか悲しませてしまうんだろうな。」
「僕のこと忘れたら悲しいけど. . .そっちの世界でさ、1番、1番幸せになってくれよ. . .。あみは誰よりも綺麗で可愛いんだから。」
「. . .うんっ。ごめんね。わたし、本当に大好きだったっ!!」
「. . .うん。ありがとう. . .っ。僕も大好きだった!」
鏡が歪みはじめる。
「. . .っ!あみ!!ありがとうっ!!幸せになってくれっ!!!」
. . .鏡には僕の泣き顔が映されていた。
我ながら酷い顔だ。
「ははっ。酷い顔だ. . .. . .あみ。. . .っ。」
「まさかあっちの世界と繋がるなんて. . .これはいい収穫だったわ。」
「. . .さあ、大切な人の今を見ることができたんだ。この先はどう生きるか。あなた次第よ。」
気づいたら僕は家にいた。. . .あみ. . .僕は. . .
. . .あれから何年か経った。
僕はまだ生きている。
死んだらあみのところへ行けるかと思ったこともあったが異世界にいけるとは限らない. . .。
そしてあみは大切な人との時間が僕との時間よりも多く作られているんだろう。
あの日のことは夢だったのか. . .。あの店には何度も行こうとしたがたどり着かなかった。
それでもあみが死んでからも苦しんでいなくて良かった。あみが笑ってくれていて良かった。
あみにあいたい. . .
その想いは消えないが. . .
今度会う時は笑顔で. . .
そして今日もまたあみのいない日が始まる
落ち着いた雰囲気のバー。そこにまた1人の女が泣いている。
黒髪の女は話しかけた。
「私と. . .取引する?」