第97話:産卵
文字から推測すると、毒を無効化するスキルか?
いや、無効化とは書いていないから、ダメージを軽減する的な?
というか、その以前にどうして急に……?
状況的には、ダイヤがゴミを食べてすぐだったので、何か関係がありそうだが……。
「ダイヤの好感度が上がったから、栄養を吸収できるようになったんだよ!」
つまり、どういうことだ?
好感度が上がったことと、栄養を吸収できることの関連性がよくわからない。
ま、まあここに関しては別にいいか。
そういうものとして理解しないと頭がパンクしそうだ。
「えっと……ゴミから栄養を吸収して『毒耐性』を生成したってことか?」
「う〜ん、だいたいそんな感じ! 食べ物の中に少し毒があったから、その毒を吸収したきっかけでダイヤが『毒耐性』を覚えたの」
なるほど。
つまり、『毒耐性』は数多あるスキルからランダムで習得したわけではなく、スキルが発現するきっかけが食べた物の中にあった故のことということか。
「でも、ダイヤがスキルを習得したとして、どうして俺まで……あっ、《ステータス共有》か」
「そう!」
俺は、《ステータス共有》により召喚獣たち全員の能力値に比例する形で強化されている。
どうやら、攻撃力などの能力値だけでなく、スキルまでもが対象だったらしい。
「これは便利だな。ちなみに『毒耐性』っていうのはどれくらいの毒に耐えられるんだ?」
「レベル1では弱めの毒だけ……かな? もっと毒を食べて『毒耐性』のレベルが上がったらどんな毒でも効かなくなるはず」
「なるほど」
『毒耐性』を習得するきっかけだった毒を摂取すればそのうちレベルが上がるといった感じなら、意識せずとも強化されてそうだな。
「そういえば、もしかしてダイヤ以外も好感度が上がるとできることが増えていたりするのか?」
ダイヤの一件でピンときて、ソラとコッコにも尋ねてみる。
「ソラは飛行がちょっと速くなったくらいかな〜?」
「もともとあった機能が強化されたって感じか。コッコは?」
「コッコはねえ……うんしょ。卵産めるようになった!」
言いながら、なんとコッコは金色の卵を産み落とした。
「え……?」
俺は、思わず二度見してしまう。
コッコの足元には、確かに鶏卵サイズの金色の卵が転がっている。
「コッコってメスだったのか……?」
「かな? これ、カズヤ様にあげる!」」
コッコは前脚でコンコンと卵を叩いた。
「ええ……? くれるるのはありがたいけど……なんか、複雑な気持ちだな。暖めれば雛が生まれるんだろ?」