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第91話:討伐完了

 ちなみに、感触はもにゅっとした感じで硬すぎず柔らかすぎず、非常に心地良かった。


 と、そんなことはともかく。


「わざとじゃないんだ!」


 意図せず起こった事故なのだが、非常に気まずい……。


 やれやれ、どうしたものか。


「カ、カズヤさんなので、わざとじゃないことはわかります! いや、わざとでも私としては一向に構わな——」


 と、その時ヒューッと風が吹いた。


「え?」


 後半、何を言っているのか聞こえなかったのだが、聞き返すほどのことではないよな……?


 少なくともわざとじゃないことだけは伝わったようなので、良しとしておこう。


「じゃ、じゃあ私、改めて魔法を撃ちますね!」


 そう言って、戦闘態勢に戻るシーナ。


 シーナの実力は十分に分かっているので、任せておけばいいだろう。


 さて、俺は残ったツインウルフを相手するとしよう。


 ……と言っても、こうしている間にもみんなが戦ってくれているおかげで数が減っているので、残りはたったの二体。


 ドゴオオオオンンッッ‼︎


 同時に襲いかかってきた二体を殴るだけで決着した。



「魔物はそのまま回収しておくよ」


 普通の冒険者は丸ごと街まで持ち帰ることはできないので、角や牙など小型軽量で価値が高い部分だけを剥ぎ取る作業をしなければならない。


 だが、俺には《収納魔法》がある。


 面倒な作業をしなくても、ここに放り込んでおきさえすれば素材の回収は完了。しかも、一部分だけを持ち帰るより高額で買い取ってもらえる。


「あっ、でもリード村で骨を回収した後は別れるんだよな。となると、買い取ってもらえる街まで一緒に行かないかもしれないのか。相場とか分かればこの場で分配できるんだが……」


 シーナとアリアの二人とは恒常的なパーティを組んでいるので問題になることはないが、片桐たととは、あくまでも臨時パーティ。


 俺が回収しておくことでの思わぬ問題もあったようだ。


 どうしたものかと頭を悩ませていると、片桐が四人を代表して声をかけてきた。


「今回のパーティでの素材の取り分に関しては、旭川君たちがもらってほしい」


「えっ?」


 ツインウルフは強い魔物ではないので、一体ではおそらく高額にならないことはわかる。


 だとしても、十体分もあればそれなりの金額になりそうだし、ここからも何体か回収することになるはずなので、耳を疑う言葉だった。


「食料とかは全部旭川君に持ってもらってるし、さっきの戦いだって旭川君が霧を晴らしてくれなきゃ苦労したと思う。貢献度で言えば、旭川君たちがもらって然るべきだと思うんだ」


「そ、そうか……?」


「それに、今回はあくまでも供養が目的の旅だしね」


 お金が目的ではないので、細かいことは言わない……ということか。


 念の為遠藤たちの方も見てみると、納得しているようだったので片桐だけの意見ではないようだ。


「分かった。みんなが良いなら、ありがたく引き取らせてもらうよ」


 トラブルの元にならなければ、もらえるものはもらっておいた方がありがたいことも事実。


 とは言っても、何となくモヤる。


 何かお返しできる機会があればその時は何かするとしよう。

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