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第87話:ツインウルフ

 ◇


 移動すること約二十分。


 大分アーネスから離れたはずだが、まだまだ深い霧のせいで視界が悪い。


 道伝いに移動しているので迷うことはないが、景色が変わらないせいで退屈な時間が続いていた。


 と、その時。唐突にアリアが呟いた。


「魔物、近くに来てる」


「え、何でわかるんだ?」


「アリアはそういうスキルがあるからわかる。スキルが使えなくても、カズヤも耳を澄ませれば足音とかで魔物がいることはわかるはず」


「わかった。やってみる」


 アリアによれば、スキルがなくてもわかるということなので耳を澄ませてみた。

 

 ——タタ、タタタン。


 雨音がノイズになりかなり聞き取りづらいが、ステータス向上により聴力が上がった今だからか、確かに魔物の足音のようなものを聞き取ることができた。


 半径十メートルほど離れた場所から複数の囲まれてしまっているらしく、徐々に近づいてきている気がする。


「結構数がいるな……。十体くらいの群か?」


「多分、ツインウルフだと思う」


「ツインウルフ?」


「普通の狼と違う、頭が二つある狼……でわかる?」


 ……う〜ん、よくわからん。


 ケルベロスみたいな感じか? でもあれって、三つくらい頭あったよな?


「まあ……わかんなくても大丈夫。このパーティの戦力なら、ちゃんと戦えればそんなに手強い敵じゃない。侮るのは良くないけど」


 普通の状況なら負けない相手ということか。


 倒すだけなら、俺一人でも十分にやれるが、無防備な状態で誰かが攻撃を喰らうと不味いよな。


「アリア以外のみんなは魔物の位置分かるか?」


 作戦を立てるため、まずは尋ねてみる。


「いえ……私もさっぱりです」


 シーナが首を振ると、片桐たちも続いた。


「僕もサッパリかな。もっと近づいてくれば見えるとは思うけど……」


「俺はどうも、こういうのは苦手みたいでな……」


「そこにいるのは分かるけど、場所まではわからないわ」


「私も全然……」


 なるほど。


 半分以上が分かるならそのままでも良いと思ったが、これならごちゃごちゃと細かな対応をするよりも、根本の原因を取り除いた方が早そうだな。


「わかった。じゃあ、今から霧ばらいをしておこう」

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