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第83話:目には目を。歯には歯を。

 とりあえず、この店で餌を購入しないことは確定だ。


 その上で、この悪徳商人をただ見逃して良いのかという問題。


 誰かが損するかどうかは俺の知るところではないが、普通は何も言えないペットたちが不味くて栄養のない物を良かれと思って食べさせられるのは、さすがに胸が痛む。


 やはり、今後のためには何かしらの対策はしておいた方が良いだろう。


 そうだな……。


 俺は、金色のパッケージを広い、まだ中に粗悪な飼料が残っていることを確認する。


 モワッとした臭いが鼻を突いてくる。……臭い。


 俺は、店主の目の前にパッケージを突き出した。


「一度、これ食べてみろ」


「……は?」


 何を言われているのか理解できないといった様子で動揺する店主。


「これを食べさせられていたペットの気持ちをまずは理解するべきだ」


「い、いや……でも」


「心配するな。毒は入ってないんだろ? 食べても死ぬことはないさ。な?」


 ソラたちに尋ねると、頷いてくれた。


「もし、食えないなら……あんたを餌にしてもいいんだが?」


「そ、それはどういう意味だ……?」


「そこに俺の魔物が三体いるだろ? まあ、想像に任せるよ」


「……っ⁉︎」


 何を想像したのか知らないが、店主は顔を引き攣らせた。


「わ、わかった! く、食うから!」


「そうか。それは良かった。早めに頼むぞ」


 覚悟が決まったようなので、俺たちはゆるりと見守るとしよう。


「……くっ」


 店主は餌皿にザラザラと餌を出し、指で一欠片だけ拾う。


 そして、鼻を摘みながら口に放り込んだのだった。


 ガリガリ……ジャリジャリという音が聞こえてくる。


「ガハ! オエッ!」


 唾液とともに吐き出し、嗚咽する店主。


「た、食べたぞ! こ、これで許してくれるんだな?」


 謎のやりきった感を醸し出している店主。


 こいつは何を言っているのだろう……?


「いや、口に放り込んだだけだろ? 食べてないし……しかも、あの量で? 舐めてるのか?」


「う、嘘だろ……⁉︎ こ、これじゃダメなのか……?」


「……当たり前だろ」

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