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第82話:悪徳商人

「えーと?」


 俺は、事情が気になり店主の方を見る。


 すると、店主は弁明を始めた。


「こ、これはだな……〝良薬は口に苦し〟と言うだろ? 栄養がありすぎて、ちょっと味の方は苦手な子も稀にいるんだ! ご、極稀にな! ペットと言えども味の好みはあるからな……!」


「なるほど……。そういうことか」


 確かに、そういうこともあるかもしれない。


 人間でも野菜など、栄養があっても苦手な人はいるしな。


 まあ、俺は野菜は美味しい食べ物だと思うので好んで食べる方の人間だが。


「だとしても、あまりに口に合わないものはちょっとな……」


「も、もちろんだ! 別の餌を今から用意し——」


 と、店主が店の奥へ引っ込もうとしたその時。


「エレン様、嘘ですよ!」


 と、ソラの声が上がった。


 ダイヤとコッコもうんうんと頷いている。


「ん、どういうことだ?」


「先ほどの餌に栄養はありません」


「ソラの言う通りです。これはきっとほとんどただの泥です。申し訳程度に残飯らしきものも混ざっていますが……」


「こんなの食べ続けたら普通の動物は栄養失調になります……」


 ダイヤとコッコも同調した。


 ふむ……となると、つまり?


「ゴミを売りつけようとしてたってことか?」


 俺は、店主をギロッと睨む。


 つい最近まで普通の高校生だった俺が大人にこんな対応を取れるようになるとは。


 異世界に来てから、少しは度胸がついた気がする。


「ち、違うんだ! そ、それは違って!」


「どう違うのか説明してもらおう」


 俺が店主に詰め寄ると、シーナとアリアも一緒になって囲んでくれた。


 俺たちが冒険者だということは店主も知っているので、年齢差はあってもしっかり恐怖を感じているらしい。


 ぶるぶると震え始めた。


 そして、ついに本音を白状したのだった。


「ど、どうせペットに味なんかわかるはずないから……ボロい商売だと思ったんだ。わ、悪かった! 反省している! ゆ、許してくれ!」


 ……やはり、そういうことだったか。


 状況的にそうとしか考えられなかったが、明るく気さくなキャラクターとは裏腹に、まさか悪徳商人だったとはな。


 さて、どうするべきか……。

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