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第81話:試食の感想

 この世界に試食という概念があるのかわからないが、一応聞いてみることにした。


「試食だと? ああ……まあ、別に構わねえが。アンタが食うのか?」


「いや、まさか。魔物本人に直接聞いてみれば早いと思ってな」


 俺はそう言った後、《収納魔法》で異空間に待機させていたソラ、ダイヤ、コッコの三体をこの場に呼び出した。


「うおっと! こ、こりゃ驚いたな…… 《収納魔法》ってやつか? こんなでけえのを仕舞えるたぁ、アンタただもんじゃねえな」


「……まあな」


 魔族に見つかるリスクを考えるとあまり目立ちたくはなかったが、この程度なら他にもできる冒険者はそこそこいるはずなので、問題はないだろう。


「それじゃあ、試食を頼む」


「はいよ」


 店主は、気前よくドバドバと餌皿に先程の商品を注いでくれた。


「え、こんなにいいのか?」


 試食なので少しで良かったのだが、想像の十倍くらいの量はある。


「ん、ああ。いいってもんよ。気に入ったら買ってくれよな」


 この店主は気前が良いらしい。


 高級品だろうから、仕入れもかなり高そうなのだが……経営大丈夫か?


 まあ、味に問題なさそうならまとめて大量に買うつもりだし、心配は要らないか。


「じゃあ、ソラ、ダイヤ、コッコ、食べてみて感想を聞かせてくれるか?」


「感想って……アンタ、魔物が喋るわけ……」


 事情を知らない店主が鼻で笑ってくるが——


「はい!」


「わかりました」


「仰せの通りに」


 ソラたちは、しっかりと返事をしてくれた。


「えっ、は⁉︎」


 雷にでも打たれかかのように驚く店主。


 その後、かなり焦った様子であたふたとし始めた。


「ちょ、喋れるとか聞いてないって! ちょ、それは困る‼︎」


「え?」


 何が困るのだろう?


 餌を食べる魔物本人から直接感想を聞けた方が都合が良いと思うのだが……?


 その答えは、この後すぐに分かることとなる。


 餌を口に含んだソラたちは、一斉に一斉に微妙な表情になった。


 そして——


「ヴェ! ま、不味いです……!」


「砂! ゴミに砂をかけたみたいな味がします!」


「おげ……その辺の草でも食べた方がマシです……」


 耐えられない味だったらしく、全員がその場で餌を吐き出してしまった。


 えっ……? どういうことだ?

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