第78話:大金ゲット
◇
片桐たちとは昼頃に出発しようと取り決め、一旦別れた。
ようやく朝の依頼受注ラッシュが落ち着いたので、エンシェント・ドラゴンの買取代金を受け取りに行くとしよう。
「あっ! カズヤさん! お待ちしておりました!」
俺たちの姿を確認するなり、飛び上がって頭を下げてくるギルド職員。
当初の舐められていた頃と比べると随分扱いが良くなったな……としみじみ感じる。
冒険者は強さが正義。
ようやく俺たちも認められてきたということだろう。
「こちらへ」
「ああ」
ギルド職員に案内され、奥の職員用スペースへ。
普通の冒険者は通されることがない場所だが、今回は多額の報酬になるということで特別にはからってくれたのだろう。
誰かに見られて大金を持っていることがバレても面倒だし、すごくありがたい。
会議室のような円卓が置かれた部屋に入る。
「……っ⁉︎」
円卓には、多額のジュエルが敷き詰められていた。
ジュエルは金属製の硬貨なのだが……これ何十キロあるんだ? いや、百キロ単位か?
「今回の買取代金なのですが、三千万ジュエルで決定しました。ぜ、ぜひともお売りいただけるとギルドとしては、大変……大変ありがたいです!」
と、買取契約書へのサインを求められた。
「俺は相場とかよくわからないんだが……シーナとアリアはどう思う?」
「エンシェント・ドラゴンとなると、珍しすぎて相場なんてあって無いようなものだと思いますが……それでも、良いお値段だと思います! 過去の同じクラスの魔物よりも1.3倍くらい高めなのかなと思います」
「アリアは相場よくわかんない」
なるほど、ボッタくられているわけではなく、むしろ少し高めの査定がされていると。
「今回のドラゴンは、すごく素材の状態が良かったので頑張らせていただきました! い、いかがでしょうか……?」
最終的に、売買を決定する権限はパーティリーダーである俺にある。
まあ、特に断る理由もないし、即金でこれだけの大金が手に入るのは大きい。
「わかった。その値段で買い取ってくれ」
「ありがとうございます‼︎」
その後は必要書類へサインを済ませ、《収納魔法》で異空間にジュエルを格納。
——かくして、俺たちは棚ぼた的に俺たちは大金を手にしたのだった。
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