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第67話:茶番

 つまり、ラッシュの生殺与奪の権は魔族たちに握られており、逃げ出したとしても遠隔で殺されてしまう。だからアリアと共に俺たちのパーティに加わる意味がないと言いたいわけか。


「えっ……そんなこと知らなかった。


 ラッシュが全ての話を終えると、アリアは同様しているようだった。


「こんなに大事なことなのに……。アリア、忘れてた……?」


「ずいぶん昔のことだし、あの頃のアリアはまだ小さかったからな」


「だとしても、十歳……何も覚えてないなんて絶対おかしい……」


「魔族の中には、記憶を薄める魔法の使い手もいると聞く。魔族にとっては、アリアには忘れてくれる方が都合が良かったとか、そんなところだろう」


「で、でも……どうしてラッシュは教えてくれなかったの?」


 アリアが尋ねると、ラッシュは少しバツが悪そうに頭を掻き、答えた。


「それは……俺にとっても、その方が都合が良かったからだ」


「……え?」


 ラッシュは、アリアから目を逸らして俺の方を向いた。


「カズヤ。茶番に付き合わせてしまって悪かったな」


「茶番?」


「僕は、君と戦って勝てるとは思っていなかった。アリアが全力で君を殺そうとするということは、切り札——アーネス山の古竜を使ったんだろうからね。僕が戦っても絶対に勝てない魔物を倒したんだ。僕が勝てる相手なわけがない。その上で挑んだんだ。茶番でしかないだろう」


 確かに、言われてみればそんな気もする。


 それだけラッシュにとってもアリアが大切なのだろうとしか思っていなかったが……。


 しかし、だとすると同時に疑問も湧いてくる。


「じゃあ、どうして茶番だと分かってるのに攻撃を仕掛けてきたんだ?」


「上から目線なようで悪いが、この目で君の実力を確かめておきたかったんだ」


「……?」


「僕は、いずれアリアだけでも逃してやりたかった。だけど、僕が一緒にいられない以上は信頼をおける誰かに預けるしかない。君が信頼するに足るか確かめたかったということだ」


「じゃあ降参したってことは、俺を認めてくれたってことなのか?」


「ああ、その通りだ」

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