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第58話:提案

 ◇


 アーネス平原を目指して、北東へ移動すること約五分。


「あれだな」


 俺たちは、ようやくラッシュたちに追いついた。


 本来なら『僅か』と言うべき時間ではあるが、感覚的には随分と時間が経ったように感じる。


 と、それはともかく。


「な、何か様子がおかしいです!」


 シーナが焦った様子で俺に状況を伝えてきた。


 もちろん、俺も気付いている。


「多分。ラッシュは五人をここで殺るつもりだ。人気が少ない場所ならどこでも良かったんだろうな」


 アリア曰く、ラッシュはアリアとは違って一人で十分に五人を殺すことのできる戦闘力を持つらしい。


 いつでも殺せるのなら、わざわざ時間をかけて律儀に目的地までの足を運ぶ必要もない。


 俺達のようにドラゴンに乗って空を移動できるわけではないので、単純に移動が大変だしな……。


 だが、もちろん黙って見守るわけにはいかない。


「ソラ、降りてくれ」


「承知しました」


 俺の命令を受けたソラは一気に高度を落とした。


 地上にいる五人がソラの姿に驚き、空を見上げている様子が見える。


「よっと」


 俺は地上まで残り十メートルほどの地点でジャンプし、無事に着地したのだった。


「なっ……お前は!? どうしてここに!?」


 突如現れた俺に驚きを隠せない様子のラッシュ。


「まあ、色々とあってな。とりあえず殺しは中止してもらおうか」


「……いったいなんのことだ?」


 ラッシュはシラを切るつもりのようだ。


 ……やれやれ。


 俺が目の前の状況だけを見て判断したとでも思っているのだろうか。 


 こうしている間に、シーナとアリアも降りてきた。


「アリア!? ま、まさか……」


「アリアが全部話した。カズヤはもう全部知ってる」


「なに!?」


 驚いているのは、ラッシュだけではない。


 先ほどまで殺意を向けられていた稲本たちの五人も同様だった。


「カ、カズヤ……お前は何か知ってるのか!? せ、説明しろ! い、いやしてください!」


 稲本にとっては俺が救世主にでも見えたのだろうか。普段のこいつからは考えられない猫撫で声で尋ねてきた。


 俺は稲本と雑談をするためにわざわざここまで来たわけではないため、求めには応じずラッシュの方を向いた。


「ラッシュ、お前に用があってきた。アリアがさっき言った通り、一通りの事情は訊いた。そこで急な話だが……提案がある」


「……?」


 いまいち俺の話の意図が掴めないといった様子のラッシュ。


 俺は気にせず言葉を続ける。


「アリアは魔族を裏切って俺たちのパーティに加わることになった」


「……は?」


「そこでだ。ラッシュ、お前も一緒に来ないか?」

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