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第46話:覚悟

 現在は、『威嚇』によりアリアが狙われている状態。


 『威嚇解除』し、エンシェント・ドラゴンのターゲットをカズヤたちにターゲットを移すことでアリアの仕事は完了する。


 なるべく近くまで引き付け、ギリギリのところで、『威嚇解除』。


 これで敵はカズヤたちを狙うようになるというのがアリアの目論見だったのだが――


「えっ⁉ ど、どうしてこっちに来るの⁉」


 巨大な古竜に『威嚇解除』は通用せず、そのままアリアに攻撃を仕掛けてきたのだった。


 実は、知能が高い敵には『威嚇解除』が通用しない場合がある。


 例えば、人間を相手に使ったケース。


 『威嚇』により自身への憎悪を強められることは共通しているが、合理的に考えることができる生き物は、そう簡単に憎悪の対象を変えることはない。


 アリアは、知能が高いドラゴンと言えども所詮は魔物であるとタカを括っていた。


 パンッ!


「ああっ……!」


 ドラゴンの尻尾に吹き飛ばされ、アリアは地面を転がる。


 地面に衝突した衝撃により、膝からは血が流れていた。


 防御力が常人離れしているアリアと言えども、あまりにも強い敵からの攻撃を受ければ無傷というわけにはいかない。


 有効な攻撃手段を持たないアリアにとっては、ジリ貧は避けられなかった。


(カズヤたちを倒せても、これじゃアリアも……)


 既にアリアは自身の死を悟っていた。


(でも……まあ、いいか)


 魔族と人間のハーフとして生まれたアリアは、魔族からも人間からも浮いた存在。


 こうしたミッションに駆り出されたのも、外見の特徴により活動しやすいことだけではないことをうっすらと理解していた。


 所詮はアリアやラッシュは魔族にとって使いやすい駒でしかなく、使い捨ての鉄砲玉として都合が良かったからなのだ。


 アリアが死んでも誰も悲しまない。


 だから、アリアはすんなりと受け入れることができた。


 エンシェント・ドラゴンが鋭い爪をこちらに向けている。


 この攻撃により殺され、役目を果たせる……と、覚悟を決めたその時だった――


「アリア!」


 カズヤがアリアの前に飛び出してきたのだった。


 そして、カズヤはアリアを抱えて地面を転がり、間一髪のところで敵の攻撃を躱した。


「えっ……ええ⁉」

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