第38話:ランクアップ
ギルド職員は、かなり驚いた様子で俺たちに知らせた。
「え、ランクアップ? こなした依頼って一件だけだぞ⁉」
「FランクからEランクは100ポイント必要なのですが、今回獲得されたポイントはこの一件で110ポイント。普通のご依頼は5~10ポイントほどですから、難易度に応じて高く設定されていました。Fランクの中では難しい高いご依頼でしたので妥当だと思います。更に、攻略にかかった時間や内容も加味して評価しております」
俺たちにとってはジャイアント・ベアーは脅威に感じなかったが、一般的なFランク冒険者にとっては難しかったようだ。
「このご依頼は、実はEランク冒険者向けにも募集しておりました。Eランクの場合は二名以上を推奨としておりますが、パーティでの受注は絶対条件ではありません」
「なるほど。じゃあ三人だとしてもこいつを倒せたらEランク程度の実力があると証明できたってわけか」
「おっしゃる通りです」
たった一件の依頼達成でランクアップは意外だったが、物足りなく感じていた俺たちにとってすぐに次のステージに進めるのはありがたい。
「それでは、こちらが新しいギルドカードです」
そう言って、ギルド職員は赤色のカードを渡してきた。
「色が変わっているのか」
「はい。Fランク冒険者は白色でしたが、Eランクは赤色になります」
「ランクアップするごとに色が変わるのか?」
「識別しやすいようそのような規定になっています。Dランクは紫色、Cランクは銅色、Bランクは銀色、そしてAランクは金色です。あと、私はまだ見たことがありませんか、現在たった十人しかいないと言われるSランク冒険者はプラチナカードらしいですよ」
ほう……だんだんと色もグレードアップするということか。
識別するための区分けらしいが、冒険者にとっては良いモチベーションになる。
「上げられるところまではサクサク上げていきたいな」
「そうですね! カズヤさんならいつかプラチナも夢ではないと思います!」
「さ、そすがにそれはどうだろうな……?」
プラチナはちょっと気になるが、十人しかいないとなるとさすがに厳しく感じる。
――さて、じゃあ今日の仕事はこの辺りにして。
「依頼も無事終わったことだし、飯でも行こうか。せっかくだしアリアも――」
「アリアはいい。一人で食べる」
「そ、そうか」
これだけ強いのに一人で活動しているところから想像するに、あえて他人と関わりを持たないタイプなのだろう。
とはいえ、即答されるとちょっとメンタルに来るな……。
「じゃあ、また」
「うん」
俺たちはアリアと別れて、冒険者ギルドを後にしたのだった。
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