第31話:防御力
※お知らせ
思うところがあり、第16話初話のカズヤの所有する召喚獣の名前を変更しています。
エンシェント・ドラゴン→ソラ
キング・スライム→ダイヤ
エンペラー・チキン→コッコ
です。
2/13以降から読んでくださっている読者様には影響はございません。
―――――――――
◇
アーネスを出た直後。
俺は召喚獣のうちの一体、エンシェント・ドラゴンのソラを呼び出した。
「え……何これ?」
初めて見せたため、アリアは目を丸くして驚いている。
「俺が使役してる召喚獣のうちの一体なんだ。一応テイマーだしな」
アリアに紹介した後、俺はソラに一つお願いをした。
「ソラ、アーネス森林まで乗せて行ってもらうことってできるか?」
「もちろんです。お任せください」
ソラは二つ返事で了承してくれ、背中に乗るよう翼で促した。
アーネス森林までは歩くと二時間ほどかかる距離だが、ソラの飛行速度なら十分ほどで着く。
俺たちが背中に乗り込むと、ソラはすぐに飛び立った。
みるみるうちに高度を上げると、風を切って進んでいく。
「す、すごい……空から街を見るなんて初めて……」
「良い眺めだろ?」
「うん!」
俺たちがソラに運んでもらうのはこれで二度目だが、初めての感動は相当なものだった。
アリアも同じなのだろう。
表情に乏しいアリアだが、今はすごく楽しそうに見えた。
――こうして、俺たちは街を出て十分ほどでアーネス森林に到着した。
この森林に生息するジャイアント・ベアーと呼ばれる魔物を三体倒せば依頼達成だ。
普段なら召喚獣たちに魔物を見つけさせ、そのまま倒してもらう流れで魔物を討伐する。
だが、今日は俺たちだけで十分だろう。
たった三体ならそれほど時間はかからない。
シーナの実戦経験を付けるという意味でも、今回は召喚獣たちには頼らないことにした。
「カズヤさん、見つけました!」
「あれだな。ここから魔法で狙えるか?」
「う~ん、ちょっと障害物が……。もう少し近づいたほうが良いかもです」
「わかった。行こう」
百メートルほど遠くにるジャイアント・ベアーに俺たちは近づいていく。
「そういえば、アリアは金騎士(★5)って聞いたけど、どんな能力なんだ?」
「すごく丈夫」
「丈夫?」
「攻撃を受けても全然ダメージを受けない。代わりにアリアの攻撃はそんなに強くないけど」
「なるほど、ゲームでいうタンク職みたいな感じか」
「げーむ?」
「いや、なんでもない。こっちの話だ」
言葉は通じても、文化面で微妙に意味が通じないことがある。
変な人だと思われないよう注意しよう。
それはともかく。
当初は数合わせに誰か一人集めればいいと考えていたが、まさか★5職の冒険者が来てくれるとは思わなかった。
ジャイアント・ベアーは俺たちだけで十分に倒せそうだが、せっかくここまで来てもらったのにトンボ帰りというのも申し訳ない。
「アリア、俺たちが安全に後ろから攻撃できるよう頼めるか?」
「わかった」
アリアは返事をすると、魔物の前に出て注意を引いてくれた。
ジャイアント・ベアーはアリア五人分でも足りないくらいの図体をしており、普通に考えればとても生身の状態で攻撃に耐えられるとは思えない。
しかし、さすがは★5職業だった。
アリアはジャイアント・ベアーに頭を丸ごと噛みつかれ、四肢を引っ張られるが――
「む……。アリア、食べられた」
攻撃はまったく効いていないらしく、ピンピンしている。
「す、すごいな……」
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