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第25話:決着

 まあ、このような反応になるのは予想通り。


 むしろ、★の数だけを見て油断してくれた方が助かるというものだ。


 俺は、試験官エレンの嫌味など気にせず定位置についた。


「先に攻撃を仕掛けていいんだよな?」


「おう。先手は譲るのが俺の美学だ」


 じゃあ、おかまいなく。


 俺はステータスに任せて大きく地を蹴った。


「な、なに⁉」


 エレンは俺のスピードに驚いているようだ。


 このまま一気に畳みかけるのも手だが、万が一奥の手を残していた場合は、カウンターをくらって一気にピンチになってしまう可能性も考えられる。


 絶対に合格しなければならない試験……ここは少し様子を見るか。


 俺は、着地の瞬間にあえて一瞬の隙を演じてみる。


「おっと……!」


 足元に転がっていた石に躓いたフリ。


 バランスを崩した俺を見て、エレンは迷わず後退した。


「っぶねえ……」


 という小声の呟きを俺は聞き逃さない。


 ふむ。


 どうやら、奥の手はなかったようだ。


 ということは、あれがエレンの実力ってことか……?


 ふっ、この勝負……勝ったな。


 俺は胸中で合格……いや、この模擬戦の勝利を確信したのだった。


 普通、漫画やアニメの世界ならこの展開はピンチや負けのフラグだ。


 だが、これは現実。


 そう都合よくドラマが展開されることはない。


「じゃあ、改めて――」


 俺は再度エレンに攻撃を仕掛ける。


 エレンの方は、さっきまでの舐め腐っていた態度を改め、完全に本気の表情になっていた。


「かかってこい‼」


 そのように叫ぶエレンの剣を目掛けて、俺は思い切り剣を振るった。


 キン!


 剣と剣が衝突する甲高い金属音が鳴り響き――


「な、なんだと⁉」


 なんと、エレンの剣は真っ二つに斬れてしまったのだった。


 折れたり、割れてしまったのではない。


 まるで包丁で豆腐を切ったかのような綺麗な断面をつけて切断されている。


 カラン、カラン。


 折れた剣の切っ先が足元に転がる。


 もはや、この状況で戦闘の継続は不可能だ。


 俺は、エレンに剣を突き付けながら訊いた。


「さて、どうする?」


 エレンは信じられないとでも言いたげな驚愕の表情を浮かべた後、両手を挙げた。


「降参する……お、俺の負けだ」


 これにて、無事に俺の勝利が確定したのだった。


 そして、この結果をうけて周囲にどよめきが起こった。


「な、何者だあいつ⁉ あんなすげえやつがいるなんて聞いたことないぞ⁉」


「Cランクの冒険者相手に一切チャンスを与えなかった!」


「B……いや、Aランクの実力なんじゃないか⁉」


 やれやれ。


 思いの他、注目を浴びてしまったようだった。

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