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第23話:最終試験

 ◇


 ギルド職員に連れてこられたのは、演習場の奥だった。


 攻撃力測定用のカカシが設置されている場所からは、五十メートルほどしか離れていない。


 俺の他にも十人ほどの冒険者志望者が集まっていた。


「ここでギルドが任命したCランク冒険者と模擬線をしていただきます。詳しい説明は、試験官の冒険者からお聞きください。試験はこの後すぐ始まります。それでは、期待していますね」


 そう言って、ギルド職員は業務に戻った。


 一次試験の終了時間にかかわらず、今日の志望者がまとまって試験を受けるらしい。


 ギリギリの時間に試験を申し込んだおかげで、待ち時間なく受けられそうだ。


 ほどなくして、俺たちの試験を担当してくれるCランク冒険者がやってきた。


 大柄でスキンヘッドの男性冒険者。


 いかにも荒くれ者の冒険者……という感じの怖い印象がある。


 そんな試験官は、俺たちを見るなり次のように宣言した。


「俺の名前はエレンだ。やれやれ。お前ら、運が悪かったな。全員落第だ」


 いきなり何を言い出すんだ……?


 他の冒険者志望者たちも同じように思ったらしく、ざわざわと困惑ムードが漂う。


 受験者のうちの一人が声を上げた。


「あ、あの! それはどういう意味でしょうか……? 僕たちはまだ試験すら受けていません。合否は試験によって決まるのではないですか⁉」


「うむ。その通りだ。合否は試験によって決まる。だが――」


 エレンは決め顔を披露し、次のように宣言した。


「俺はこれまで一人たりとも合格させたことがねえ! なぜか? 俺の基準に適う奴に出会ったことがないからだ! 近頃の若者は甘ったれてる。他の教官は簡単に合格させるかもしれんが、俺は違う! それでも挑戦したい奴だけが試験を受けろ。説明は以上だ」


 うわあ……面倒くさい系のやつだこれ。


 というか、合否は試験官の冒険者に一任されているのか。


 せめてギルドで基準くらい明確にしておいてほしかったが……まあ、現代日本とは色々と常識が違うということか。


 ざわざわしているこの場の雰囲気からすると、常識がどうこうというよりは、エレンが変わり者っぽいような印象はあるが……。


 とはいえ、俺としては早く冒険者になりたい。


 一日合格が遅れれば、収入が稼げるようになるまでの期間が一日伸びることになる。


 それは困る。


 スッ。


 俺は、質問のため手を挙げた。


「ん? なんだ?」


「合格基準が厳しいって話だが、もし俺がアンタに勝ったらどうなる? これでも不合格になることもあるのか?」

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