第22話:対応
どうやら、俺が斬り落としてしまったカカシは本来壊れるものではなかったらしい。
それほど頑丈なものが壊れるということは、やはり俺の本来の強さはさっき水晶で確認したステータスではなく、《ステータス共有》によりプラスされたステータスの表示が正しかったようだ。
「えっと……合格ってことでいいんだよな?」
とはいえ、少し不安もあった。
普通では出せない成績を出したとはいえ、数字が出なかった。
これを理由に不合格とされるかもしれないという恐れである。
その場合は手加減して数字が出るように調整すると提案するつもりだったのだが――
「も、もちろん合格です! これまで試験を受けられた方でカカシを壊したという方は一人としていません! ま、まさかこれほど短期間のうちに優秀な方が試験を受けにこられるとは……」
「そ、そうか……なら、良かった」
当然と言えば当然だが、これで次の試験に駒を進めることができる。
ほっとしたと同時に、ギルド職員の後段の言葉が少し引っかかった。
「ん、俺の前にもすごい人がいたのか?」
「はい。実はそうなんです。五人で受けに来られたのですが、全員が★5職の方で……それはそれは、皆さん強くて私も驚いたのですが、カズヤさんはそれ以上です!」
なんとなく、その五人の察しがついてしまった。
おそらく、稲本たちだろう。
俺と同じように、職を求めて冒険者を目指し、リード村から近い場所で冒険者資格を取れるこの街に辿りついたに違いない。
……となると、もしかすると今もそう遠くない場所にいるのかもしれない。
俺が気まずく思う必要はないのかもしれないが、なんとなく顔は会わせたくないな……。
「どうかしましたか?」
「ああ、いや。なんでもない」
「それでは、次の試験にご案内しますね! これがラストの試験になります!」
的当て試験に合格してから、ギルド職員の対応があからさまに変わった気がする。
ステータス検査でとんでもなく低い成績を出した時とは言葉遣いすらも違うような……?
まあ、細かいことはいいか。
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