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異世界恋愛もの(わりとシリアス系)あれこれ

ポーカーフェイスの想い人

第4回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞応募作品です。テーマは「ポーカーフェイス」。


拙作「ひまわり畑の初恋の君」(https://ncode.syosetu.com/n8577hy/)の続編ですが、本作だけでも読めるようにしている……筈です。


「お嬢様」

「なあに? フロー」

「愛してます。ずっと貴女に恋い焦がれていました」

「そ、そう」


 フローレンティンの言葉に、私は危うく挙動不審になりかけた。でも無表情で返事をする。

 ポーカーフェイスってやつね。賭け事のポーカーで、良い手が来ても表情に出さないことを言うらしいわ。


 一方、フローは寂しい仔犬みたいな表情を見せるし、()()()()()()()()メイド達はニヤニヤ顔を(こら)えながら私達を見ている。


 そんな顔をしないで! 色々まずいわよ。私はフローの主人だし、なにより彼は今、女装して私にお茶を給仕しているのに。



 フローは小さな頃から私と共にいた。金髪が美しい女の子だと思っていた。

 実際は私の護衛役として、女性のふりをしていたそう。

 それを知らない私は彼と幼馴染のレイ様とを間違え、レイ様にずっと恋をしていた。

 レイ様に振り向いて貰うにはどうしたら良いか、なんてフローに何度も相談して、友のように心を許していた。


 まさかフローが男性で初恋の相手だったなんて。

 しかもそれがわかった途端、グイグイくるんだもの。


「あなた身分をわかってるの?」

「存じてます。ですから()()(ただ)この気持ちを伝えたいだけです」


 嘘つき! さっきのシュンとした顔は何よ! 絶対にポーカーが弱いわね。


「御馳走様。美味しかったわ」

「それはようございました。私の最後の勤めですので精一杯心を込めました」

「えっ!?」


 フローは美しい微笑みを見せる。


「私の気持ちを表に出した以上、お嬢様にお仕えする事は難しいかと。今日でお暇を頂きます」

「そんな!」


 思わず声が上ずる。もう無表情ではいられない。


「さようならお嬢様」


 フローは微笑んだまま去っていった。





 今夜はレイ様の婚約披露パーティー。

 多分、彼の婚約者が私を疎ましく思って見せつける為に招待したのね。今更人違いでしたなんて言えないけれど。

 そんな私をエスコートしてくれる相手なんて勿論いない。父と一緒に行くしかないと憂鬱だった私に突然来客の報せが。


 先触れもなく不躾だと思った相手は、長い金髪で細身の美青年だった。


「お嬢様。いえ、マリエ様。私にエスコートする栄誉を下さいませんか」

「はい? だから身分差が……」

「王宮に士官しました。まだ身分は低いですが、きっと出世して見せます」


 私は開いた口が塞がらなかった。


「まさか、その為にうちを辞めたの?」

女装できる護衛(私のような人間)は使い勝手が良いんですよ」


 微笑むフロー。

 ああ、この人意外とポーカーが強いかもしれない。



お読み頂き、ありがとうございました!

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この話の続きは↓こちら↓です
私に迫ってくる元護衛はどうやら天才だったらしい

この話の前日譚は↓こちら↓です。
ひまわり畑の初恋の君

他の短めな短編もよろしくお願いいたします! ↓のバナーからシリーズに飛べます!
5分前後でサクッと読めるやつ あれこれ
(バナーは楠木結衣様からのご厚意で頂きました♪)
― 新着の感想 ―
[良い点] フロー……かっこいい……! めちゃめちゃ楽しかったです!! お嬢様の心の声が追えるの嬉しい……! 途中の寂しい感じもラストの一文も好きです!!
[良い点] ああ押し引きの駆け引き素晴らしい そして見事にハマってゴロゴロガタガタと転げ落ちてくお嬢様すき頑張れお嬢様色々と無駄そうだけどすき [一言] わあい続編(語彙力喪失
[一言] ええ話や(>ω<) もう二人には絶対くっついてほしいですね。 メイド服を着ても女性らしい(男性だと分からない)って、ある意味すごいですよね(;・∀・)
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