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淡い恋心が狂気に変わるまで  作者: 安倍隆志
6/14

ダンス

本番が始まる直前、僕と山崎はダンスのメンバーに呼び出された。


 一応僕もダンスに関わっている人間ではあるので、皆で輪になり一致団結を図った。


僕はそういうことには慣れていないのでぎこちなくではあるが皆と一緒に声をあげた。


 その後すぐにダンスメンバーの主格である人物に照明のことについて話を聞いた。


「照明って結局どういう感じでやればいい??」


「雰囲気で頼む。まぁでもあの~皆でまとまる前のところあたりは激しい感じがいいかな。ってことで本番次だから準備するからよろしくな。」


「おう、わかった。」


結局よくわからなかったので、やっとおとなしくなった山崎と話をつけた結果、僕が山崎の行っている照明の真似をするということで本番を迎えることとなった。


 結果からいえば、あまり照明の力は強くないので何とかごまかすことができた。


 ダンスが終わった後は皆一旦自分達の教室に帰り、昼食などを取っていた。


 僕もその流れに紛れ込み教室で昼食をとることにした。由美が近くにいるだけで幸せな気持ちになった。


 皆ダンスのことで盛り上がっているので、普段は全く話さない間柄であっても話をしたりしていた。


 僕も普段は話さないような人とよく喋り、笑い合っていた。


 そんな中、由美はあまり人と話をしていなかった。今の空気なら話しかけられると思った僕は思ったことをそのまま伝えた。


「ちょっとお腹が痛いんだよね。まぁたいしたことはないんだけどさ。」


「そっかぁ。お大事にね。午後の仮装ダンスの決勝に残ったら踊れるの??」


「大丈夫。」


「大丈夫ならいいけどさ。無理しないでね。」


「うんありがとう。話は変わるけどさ。これ帰ったら読んで。」


と可愛らしい封筒に入った手紙を僕に差し出した。


「うんわかった。」




 貰った手紙の内容が気になって仕方なかった。


 もしかしてラブレターなのかもしれないと淡い期待もしていた。


でも、そんなことは一切顔には出さず、真顔で由美の前から去った。


 僕は自然とさっきまで話をしていた人のもとに戻り、会話を再開した。




 ダンスの結果は昼休みの放送で発表される。


昼食を終えたダンスメンバーは、その結果発表が近づくにつれて、しだいに静かになっていった。


 それから三十分が経過し、とうとう結果発表の時間となった。


 発表が始まると、教室の中は沈黙に包まれた。


決勝進出のグループが一組ずつ発表されていく。発表される度に、決勝進出を果たしたクラスから大きな歓声が上がった。


 とうとう僕たちのクラスが発表されることのないまま、最後の一組となった。


 この状況にも関らず、言葉を発しようとする人は一人もいなかった。


「・・・。」


「・・・。」


「・・・。」


「・・・。」


「・・・。」


「・・・最後の一組は二年四組です。おめでとうございます。今呼ばれたグループの代表者は一時半に体育館のステージ前に集合してください。」


 発表と同時に僕たちのクラスは歓声に包まれた。



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