奇跡的な再会
奇跡的な再会が良い話とは限らない。
これは私がまだ若かりし頃、田舎から上京して来て暫く経った頃の話しです。
当時住んでいたボロアパートに、新聞屋の勧誘員がやって来ました。
(都会は家賃高いの!)
それは、薄汚い格好をしたおっさん。
そのおっさんを見て思ったのは…アレ?このおっさんどっかで見た事がある!
誰だっけ?
勧誘の言葉を聞き流しつつ考えた結果、思い出したのは、上京前に勤めていた会社の事。
そのおっさんは、中途入社して来た人だった。
おっさんは入社して来て1か月も経たないうちに、『頭が痛い。』『腹痛が。』と言って出社しなくなり、社員や会社からお金を借りて返さず、流石にクビになった詐欺オヤジ。
更に会社が借りていたアパートに、クビになったのに居座り、アパートの住民には『不当解雇』だと言って、同情を買う様に嘘をついてたそうです。
先輩の話では、私からもお金を借りようとしてたらしい。
だがしかし、私は絶対に人にお金は貸さない事にしている。
学生の頃、同級生(後に退学)が寸借詐欺を繰り返していたので、『絶対に返す気ないだろ!』というのは、直ぐにわかりましたから……
だいたい50代のおっさんが、新入社員からお金借りるとかないわー
まぁ兎も角、幸いにも向こうはまったく此方の事に気が付いていなかったので、新聞はお断りして帰ってもらいました。
まさか故郷から遠く離れた場所で、おっさんに会うとは思わなかった。
まさに『奇跡的な再会』だが、こういうのは勘弁して欲しい!
後に家族にその話をしたところ……
「たぶん嘘をつき過ぎて、騙した相手の顔なんて覚えて無いのでは?」
と言われた。
確かにそうかもしれない。
その後、そのおっさんとは二度と会う事は有りませんでした。
あなたはどんな【奇跡的な再会】をした事がありますか?