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真実は

あれから私たちは家に帰った。

望はさすがに凹んだのかすぐに寝てしまった。


「さてと…あのおっさんは公園か」

私は望が寝たのを確認して公園に向かった。


「やあ、何かわかったかい?」

おっさんが声をかけてきた。


「うん、わかったよ。ほら」

私は犯人の記事が載った新聞を渡した。


「な、なんだよこれは」


「あんたを殺したのは棟梁だってさ」


「そんな、何で棟梁が」


「自首したらしいけど、動機は言わないみたいだよ」


「あいつか、紀夫が関わってるのか?」


「どうしてそう思うんだよ、犯人は捕まってるんだぜ」


「棟梁の訳がない…」


「事実を受け止めなよ。じゃないとあんたずっとこのままだぜ」


「紀夫のところに行く」


「行ってどうするんだよ」


「殺すに決まってるだろ、あいつしかいない」


「なぁ、紀夫って人。娘が病気なんだろ?」


「えっ、あ、そうだけど」


「死者のあんたが紀夫を殺せばあんたは地獄行き、殺された紀夫さんは娘を心配して成仏ができない。そして、娘は紀夫の収入がなくなれば時期に死ぬ、それでいいの?」


私はここに来る前に紀夫の家を探して侵入した。

そこで娘の事を知った。

どうやらあの棟梁はかなり給料面を渋っていたようだ。そのため別のところに転職しようとしていたのだ。

私の推理は外れていた。紀夫はこのおっさんについてむしろ好印象を抱いていた。

あのファミレスでの会話も新しい棟梁に気に入られるために必死だったのだろう。テーブルの下に置いた手が震えていたのはそういうことだったのだ。


恐らく棟梁は紀夫を残すために給料を上げる方法を考えた。しかしどうやっても上げることができない。

ならどうする?人を減らすしかないのだ。


「なぁ、あんた棟梁ともめた?」


「え?ああ何でもうちを辞めて独立したらどうだって、でも俺は棟梁の元でこれからも働きたいって言ったんだ。もしかしてそれで俺は殺されたのか?」


「わからないよ、黙秘してるみたいだし」


「確証もなしに殺す、殺されるはダメだよ」


「…じゃあ俺はどうすれば」


「あんた家族は?」


「いないよ、両親も死んじまって…棟梁が俺の親代わりだと思っていたのに」


私の心臓がズキッと痛くなる。


「棟梁はそうは思っていなかったんだな…」


「…わからない」


「そうだよな、俺は結局1人ぼっちだったってことだ」


「ごめん、こんなことになるなら犯人のこと伝えないほうがよかったね」


「いや、ありがとう。危うく紀夫を殺すところだったよ」


「棟梁も殺しちゃダメだよ」


「殺さないよ。俺成仏したい。そして今度は仲間を沢山作るんだ、ひとりぼっちの俺は今日で終わりだ」


「そっか、今なら成仏できそうだな。それと1人ぼっちじゃない。私と私のつれはあんたのこと心配してたから、1人ぼっちじゃないからな」


「ありがとう、お陰でスッキリしたよ。君たちもいつか成仏できるといいね」


フッとおっさんの姿が消える。


「名前…聞いてなかったな」

私はまた余計なことをしたのだろうか。

あのおっさんは棟梁に裏切られた…その気持ちを抱いて成仏してしまった。


「成仏って難しいな…私は…現実を…」


私はベンチに座って空を見上げる。


今日は満月だ。望が起きないうちに家に帰らないとな。


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