現実を
「いたいた」
私は川辺に座ってる、仁を指差す。
「座り込んでるね。落ち込んでるのかな」
「そんな玉じゃねぇだろうな」
「たまって」
「よお、真実を受け入れた?」
(またぶしつけな言い方ね)
「やぁ、君たちか。ああ、犯人は悠哉ってことは認めたよ、だけど動機が、どうしてもわからないんだ」
仁は頭を抱える。
「本気でわかんねぇの?」
私は呆れる。
「ああ、君にはわかるのか?」
「犯人は黙秘を続けてるってさ。でも何となくわかるよ」
「それはなんだい?」
「教えるわけには行かない。自分で考えなよ。まぁ、ヒントなら…毎年会ってたことが原因じゃねぇの。詳しくはその時のことを思い出せよ」
私は仁に投げつけるように言う。
「…よくわからないな」
本当に勘の悪いやつ…
「ねぇ、仁さん。悠哉さんの父親とは会ったことある?」
「えっ、ああ、工場長だよな。母親は旦那と悠哉をおいて男と逃げたっていう甲斐性なしの親父」
「そうやって、人を見下すから」
望が声を荒げる。
「おいおい、怒るなよ。それよりなんで親父だけなんだ?」
「えっ?」
「君は俺に父親と会ったことがあるかって…初めから母親がいないことを知ってる風だったけど」
「なんだよ、意外と勘がいいんだな。いや変なところで勘がいいのか」
「なんでこいつがそういう質問の仕方をしたか知りたかったら私たちと一緒に来なよ」
「悠哉の実家にか」
「そうだよ、現実が見えてくるからさ」
「わかった」
こうして私達3人は黙って工場まで歩くことになった。
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