現実
「おい、傷口なくなってるじゃねぇか?」
伯父も思わず覗き込む。
「じろじろ見るなよ、スケベじじい。じゃあ行ってくる」
「ええ、私も行くよ」
「いい、一人で行く」
私はそのまま外に出る。
「女子力低いとか言うから怒ったんじゃないですか?」
「いや違うだろ、違うよな?」
「あ、もう言っちゃった」
さて、私を殺そうとしたあいつはまだいるのか?
地獄に落ちてる可能性もある。
でもその前にやっておかないといけないことがある。
お、いたいた。
「やっぱり、私を刺したくらいじゃ、地獄には落ちないのか」
「あ、あなたは」
「もう刺すなよ。痛かったぜ」
私は念を押す。
「…」
「お前、殺されてから自分の家に帰ったか?」
「えっ?」
突然の質問に動揺したようだ。
「帰ってないです」
「じゃあ、私と一緒に来い」
私は涼太の手を無理やりひっぱる。
「いやだ、いきたくない」
「何でだ?」
「母さんが悲しんでるから」
「違うだろ…現実を見ろよ」
私は構わず引っ張り続ける。
そうこうしているうちに家の前に着いた。
「どうだ?これが現実だよ」
「…」
流石に言葉は出ないか。
でも、こいつにはこれを見せるしか方法がない。
「ふざけんな、なんで僕が殺されたのに…」
「確かに殺したやつが悪いし、お前の家にこんなことをするやつもどうかしてるとは思うよ、でもさ、あんたのやってたことって正しかったのか?」
私は涼太に問いかける。
「…僕はただ彼女と仲良くなりたくて」
「やり方が…ダメだったんだよ」
「じゃあどうすればよかったんだよ」
「知らねぇよ。私も友達いねぇし、だけどよ。刃物で脅してデートなんかして楽しかったか?それが正しいと思ったか?」
「…」
「心配すんなよ、時期に犯人は捕まる。そうすればお前の家族達への誹謗中傷は風化していく…事件なんてそんなもんだ」
「犯人…わかったんですか?」
「はぁ、お前だってもうわかってるんだろ」
「はい」
「じゃあ、あとは生きてる人間たちに任せろよ、お前はお前の罪を受け入れろ」
「はい」
「じゃあな。あ、それと最期に親の顔見てから逝けよ」
涼太は家に向かっていった。
あれで、あいつは成仏できるか…あとは犯人の方を何とかしないとな。
まぁあっちは伯父に任せよう。どうせ色々と手配してるだろうし。
私は空を見上げた。雨が降りそうだな。
さっさと帰ろう。
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