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嘘つき

「ただいま」


「よう、何だか元気がねぇな」

伯父が呑気に言ってくる。


「うるせぇ、何にもないよ」

私は自分の部屋に入っていく。


「口が悪りぃな、ほんとに」

伯父のぼやきが聞こえたがそれも無視した。


望は成仏する気がない。それどころか私の手伝いをしたい…

もしかして私の手伝いをしたら満足して成仏するかもしれない。

いや、あいつはしつこいからそう簡単には成仏しなそうだなぁ。

それにあいつの距離感はどうも苦手だ。

これは色々と面倒だ。


翌日、望のマンションに向かった。今頃頭を抱えているだろう。そして、私の姿をみて私に泣きついてくるだろう。


望はマンションの階段に座っていた。

ほらみろ、やっぱりうまくいかなかったんだろう。

私は思わずニヤリとしてしまう。


「あ、由梨ちゃん。待ってたよ」

望は私に気づいてぱっと明るい顔になる。


今から私に助けを求めるに違いない。


「どうだった?助けが必要?」

私は得意気に聞く。


「ううん、あのお婆ちゃんをちゃんと成仏させたよ」


予想外の回答に私は一瞬止まった。


「嘘つくなよ、どうやったんだよ」


「うーん、お婆ちゃんの話をずっと聞いてたら満足して成仏していったよ」


「そんなわけあるかよ」


「信じられないなら、現場にいきましょう」

望は少しムッとした。


「いいぜ、あんたの嘘をみてやるぜ」

私は意気揚々と現場に向かった。


いない…そんなバカな


「いないでしょ?信じてくれた?」


「いや、どっか散歩してんじゃねぇのか?」


「いいかげん、信じてよ。さぁ私を助手にして」


「…」


「あんた、あのお婆ちゃんを成仏させて嬉しかったか?」

私は一拍置いて聞く。


「えっ?」

突然の質問に望がびっくりする。


「うーん。そうね、嬉しかったよ。何て言うのかな。満足感ってやつ」


「そうか、じゃあやっぱり私とコンビを組むのは無理だな」


「えっ、どう言うこと」


「私は成仏させることを進んでやっている訳じゃないし、それに成仏をさせるのを喜んでやってる訳でもない。私は偶然やってるだけなんだよ、もちろん満足感なんてやつはない。考え方の違いってやつだ」


「そんな、由梨ちゃんのウソつき」


「ウソをついたわけじゃない」


「だって、あのお婆ちゃんを成仏させたら手伝わせてくれるって」


「だから何度も言ったろ、私は成仏させることに満足感なんてないんだよ。確かにあの婆さんを成仏させたのは凄いと思う。でもやるならあんた1人でやりな」


「…もういいよ、由梨ちゃんなんて知らない」

望はアパートに戻って行った。


これでいい。やっぱり馴れ合いをするのはめんどくさい。

それにあいつが満足感を得られ続ければ成仏してくれるかも知れない。


私は自分に言い聞かせた。





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