再会
はぁ、余計なことをしてしまった。
私はうつむきながら家に戻った。
玄関を開けると、伯父のイビキが聞こえる。
なんかムカつくな。でも伯父は関係ない。
あいつはもう成仏できないのかな。何か他の方法で成仏させることはできないだろうか…
あいつの母親…母親なら成仏させることができるかも知れない。
でも手がかりはないし…あいつに聞くわけにもいかないし。
…望を置いて逃げた母親。そんなやつに望を合わせてどうするんだ。バカか私は。私は布団の中で考えながら瞳を閉じた。
これは夢?現実。いきなりあの日、交通事故が起きて、死ぬ瞬間がフラッシュバックした。
私はガバッと起き上がる。
頭が痛い気がする…
私は成仏出来るわけがない…
いつか許される時は来るのだろうか。
私はまた意識を失っていく。
「おい、由梨。生きてるか?」
伯父が必死な顔をしていた。
「あ、いつの間にか寝てた。てか、生きてるか?じゃないよ。死んでるんだから」
私は伯父に文句を言う。
「いつまでたっても動かねぇから心配して声をかけてやったんだぞ」
「そう」
私は掛け時計の時間を見た。
12時間程立っている。そんなに寝てたのか。今は午前10時…望のところに行ってみるか。
「おい、お前またややこしいことになってるのか?」
「んー、そうかもでも大丈夫」
「ほんとかよ」
「何かあったら手伝ってもらうわ」
伯父はあからさまに嫌そうな顔をした。
「出掛けてくる」
「ああ、何もないことを祈るぜ」
私は無視して外に出た。
雨か…この体だから濡れることはないけど、昔から雨は嫌いだった。
気分が落ち込む。雨の日はいつもそうだった。
母は雨の日は大体機嫌が悪い私を察して、程よい距離を取ってくれていた。
そんなことを考えていたら望のマンションに着いた。
いない…もしかして成仏した?
私は方向転換して帰ろうとする。
「由梨ちゃん!!」
私は思わずビクッとする
「あ、あんた」
望が駆け寄ってきた。
「昨日はごめんね、ちょっと色々パニックになって」
「いや、悪いのは私だよ。私のせいであんたの成仏の機会を逃しちゃったんだからね」
「えっ、いいよ。私成仏する気ないし」
望はあっけらかんと言う。
「はぁ?」
「だって、私由梨ちゃんの手伝いをしたいから成仏しないもん」
何を言っているんだ…
「な、手伝いって私は仕事をしてる訳じゃないって言ったろ」
「でも、私のお父さんのところに行ってお父さんを成仏させたじゃない」
「あ、あれは本当はあんたを成仏させようと思って様子を見に行ったんだ」
「やっぱり、成仏させるのを仕事にしてるじゃない」
「だからあれは気まぐれだって」
「じゃあその気まぐれに私も付き合わせてよ」
「…」
「嫌だ」
「私もいや」
「じゃあ、あんたあそこに座ってるお婆さんを成仏させてみなよ」
私は思わず、木陰に1人座っているお婆さんを指した。
「わかった、あのお婆ちゃんを成仏させたら手伝わせてね」
「はいはい、まぁせいぜい頑張って。また明日様子見に来てやるよ」
私はその場を去った。
そんな簡単に成仏なんて出来やしない。
私がこの1年どれだけ苦労したと思っているんだか…
明日、望の苦労話でも聞いてやるか。
自分でも意地悪だと思うがこのくらいがちょうどいいんだ。
死人同士で仲良くやる必要なんてない。
嫌なやつだな…私は
私は急に自己嫌悪に襲われたがそのまま家に向かって歩いていった。
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