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ケース3 林恵子(享年58)

「ねえ光一君、いい入居者いないの、誰か人探してよお」

女の人の大きな声が聞こえる。


「そういっても、あそこのアパートはもう事故物件として有名になっちまったからねえ」

伯父が他人事のように言うのが聞こえる。


どうやら前回、前々回と不幸な事件があったあのアパートの管理人さんと話ているようだ。

あの事件以降、あのアパートの住人は全員いなくなり誰も入居者がいなくなったようだ。

たびたび伯父の下に愚痴まじりに管理人さんはやってくる。

今日もその大きな声で目が覚めた。


「俺だって家賃がだいぶ安くないと、いや逆にお金でも貰わないと住みたくねえもん」


「そうよねえ、はぁ困ったわぁ」


「そうだ、いっそのこと今話題のヨウチュウバーに事故物件住んでみたみたいに話題にしてもらったらどうだよ」

伯父が無責任に言う。


「あら、それいいわね。私はチラシを作るからヨウチュウバーを探すのよろしくね」


「おいおい、おばちゃん。みつけたら金もらうぞ」

はいはいと言っておばさんは帰っていった。


私は隣の部屋から出てきた。

「伯父さん。私協力しないからね」


「まだなにも言ってねえだろうよ」

伯父のことだ。物好きなヨウチュウバーをあのアパートに住まわせて、私に心霊現象の手伝いでもやらせるだろうから先手を打っただけだ。


「まあ、一応依頼を受けたから入居者探しやんなきゃな」

叔父はめんどくさそうにいった。


「まぁ、頑張ってよ」

私は日課にしている散歩に出かけた。


あの凄惨な事件からすでに一ヶ月が過ぎようとしていた。今だ犯人は捕まらず、第一発見者の伯父が疑われたりもしているらしい。実際のところ犯人はこの世にいないのだから捕まることは永久に無いだろう。

あれから私はショックもあってしばらく部屋に閉じこもっていた。しかしそれではいけないと最近は思い始め、起きたら外に出ることを日課にするようにしていた。まあ伯父にめんどくさい依頼の手伝いをさせられるのを避けるためでもあるが。

散歩をしていると私と同じ存在の人はよくいる。私が死んでからもう4ヶ月ほどたつが、唯一私ができるようになったのは私と同じ存在を見抜くことができるようになったことか。

この何日か散歩をしているだけでもその人たちは沢山いた。でも私は見てみぬ振りを続けていた。

あそこの信号にも50代くらいのおばさんがいる。ここで亡くなったのか・・・。


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