最後にむけて
「あーあ、結局口出ししまくっちゃったよ。やっちまったなぁ」
由梨が頭をボリボリとかきながらぼやく。
「まったく、今回の事件は関わりたくねぇって何度も言ったろうよ」
俺は由梨よりも強くぼやいてみせた。
「そんなこと言っても仕方ないだろ、あの子あのままじゃ壊れちゃうからさ、目を覚ます手伝いをしただけだよ。あとはあの子に全部投げたからいいだろ」
由梨は俺の言葉をわかっていたかのように平然と返す。
「おいおい、ここまで首突っ込んで丸投げかよ」
俺は思わず口に咥えていたたばこを落とす。
何て無責任な話だ。
「えっじゃあ。最後まで手伝ってくれる?」
待ってましたと言わんばかりに食い気味だ。
「それは嫌だ、俺は関わりたくないって言っただろ」
「なんだよ…まぁいいや。もう一回ここにつれてきてくれてありがとうございました、伯父さん」
由梨はわざとらしくお礼を言ってくる。
「へっ気持ちが悪い」
俺はたばこを吸い直す。
「あっ、そういえばあの子…私のこと見えたみたいよ、あと声も聞こえるみたい」
あっさりと由梨が意外なことを言ってくる。
「え、何だよ?じゃあもう死んでるんじゃねぇか?」
「いや、生きてたよ。それは確かだよ。多分だけどさ。死に片足突っ込んでるからじゃない、自殺しようとしてたし、今も死にたがってたから。よくわかんないけどね。こればかりはさ」
「ふーん、何だか相変わらずよくわからねぇ仕組みだな。お前の身体は」
ふぅとため息をつく。
「私もわかんないよこればかりはさ」
由梨は少し黙る。
俺は次に出てくる言葉がすでに分かっていた。
「ねぇ伯父さん。やっぱりもう少しだけここにいてもいい?」
「帰るって言っても聞かねぇだろ?」
ふぅと俺はため息をつく。
「さすが、よくわかってるね。じゃあ私は行くわ」
由梨はニコニコしながら言う。
「愛想笑いはいい、最後まで見届けるのか?」
俺は真面目な顔で由梨に問いかける。
「そうだね、私ができることはもうないからどうなるか見届けたいだけ。でも、もう一回話はしてこようかな」
「好きにしな、俺は怖いから隣町に避難してるから終わったら呼べよ」
「情けねーな」
「殺されたくねぇからな、じゃあな」
俺はさっさと車に乗ってこの町から去っていく。
「さてと、もう一回行ってやるか、これで最後だからな。由梨」
私は自分に言い聞かせながら沙夜のいる病院へ向かった。
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