会話
私はまた沙夜の病室にいた。
あいつらがここに来るのは時間の問題だ。
しかし、相変わらず目を覚まさないな。
「あの二人はいつか誰かが裁いてくれる…だから私は…」
沙夜がぶつぶつと言葉を発する。
「ダメだ、あの二人を裁けるのはお前だけっていっただろ、お前がやらなきゃいけないんだよ」
「私に二人を殺せってこと?」
「違う。それじゃあ、お前が犯罪者になってしまう、それではだめだ。ちゃんと捕まえて法で裁くんだよ。それが出来るのは真実を知ってるお前だけなんだよ」
私は必死に叫ぶ。
「でも、二人がどこにいるかはわからない、それなのに私にどうしろって言うの?」
「いつか、いや…近いうちに二人がお前のところに来るのをあんたはわかってるんじゃないか?それを待っているんだろう」
「…」
「そんな気はするけど来る気配はない、待ってるのはもう疲れた、このままほっといてよ」
やはりこの子に全てを背負わすのは酷な話なのか…
ガラガラ病室のドアを看護師が開ける。
「南川さん?今誰かと話をしていた?」
「…」
「そうよね、あなたは今言葉が話せないもんね」
「ご飯を持ってきたわ、食べれる?」
「はい、口を開けて」
「おいしい?」
返ってこないのをわかっているのに、この看護師さんは優しく声をかけている。
食事を終えて薬を飲むと沙夜はまた目をつぶる。
そして、また話し始める。
「もう死にたい、死なせて」
沙夜は涙を浮かべる。
「死んではだめだ」
私はまた声をかける。
「またあなた?あなたは誰なの?」
沙夜は目を開いて辺りを見回す。
「やっぱり私の声が聞こえてるんだな」
私は確信した。
「えっ?」
沙夜は私の意外な言葉に反応した。
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